2011年2月1日火曜日

痛み止めの薬・・・正確には、消炎鎮痛剤と呼んでいますが、その東西の横綱みたいな存在が、ロキソニンとボルタレンです。まぁ、なんとなく聞いたことがあると思いますが、それほど有名になった薬だと思います。

実はロキソニンは、自分が医者になってすぐの頃に発売になった薬。当時は、痛み止めとしての効果がしっかり出るので、一気にシェアを獲得したものです。

ただし、消炎鎮痛剤は胃粘膜を荒らしやすい。胃潰瘍を作って、出血するなんて話も珍しくありません。昔、内科の先生に「ほら、君が痛み止め出した患者さんだよ」と言って、出血している内視鏡写真を見せられたりしました。

その後に、いろいろ出てきた消炎鎮痛剤も副作用は同じで、続けて飲むにはたいてい胃薬が必要になってしまいました。副作用のために薬を増やすというのは、やはり本末転倒みたいなところがあるわけで、できるだけ避けたいところです。

そのうち、消炎鎮痛剤を使用するときは胃酸分泌を抑制する胃薬を一緒に使ったほうがよいというガイドラインが出たりしましたが、そうは言ってもなかなか薬をどんどん増やすと言うことはしにくいものです。

最近は、消炎鎮痛剤の痛みを抑える作用と胃粘膜を荒らしてしまう作用を分離して、痛み止めの効果だけを強調するタイプのものが出てきています。関節リウマチのように長期間服用することが多い人には使いやすい。

とにかく、薬の主作用と副作用というものは必ずペアで存在しているものだということを忘れてはいけません。単一の作用しかない薬は存在しません。主作用の強いものは副作用も強いし、副作用の弱い薬は主作用も弱いわけで、まぁ飲まなくてもいいかもしれない。

すべての薬は「毒」であるという考え方も、ある意味正しいわけで、必要な薬を必要な量だけ、必要な期間飲むように指導することは医者の大事な役割だということになります。