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2011年2月10日木曜日

浪人

浪人というと、江戸時代。お家取り潰しとかで主君を失ったか、あるいは何か不始末をして首になった元侍のこと・・・かと思ったら、正しくはこういうのは牢人というらしい。

浪人とは、戸籍に登録された地を離れて他国を流浪している者のことで、今で言う浮浪者という言葉のほうがどうもしっくり来るようです。

とはいえ、やはり三船敏郎の黒澤映画のようなイメージが圧倒的に強いわけで、一匹狼で打算的なことは気にもかげず我が道を行くみたいな、ちょっとニヒルな二枚目の役どころという印象がついてまわるわけです。

現代の浪人というと、まず最初に思いつくのは大学浪人。高校を卒業して、すぐに大学にいかず(たいていは受験で不合格)にふらふらしている場合。

これは、自分もそうだったわけで、大部分では無駄な時間だったかもしれませんが、今になってみると意味のあることだったところも少なくない。

一番は、自分で考えて決断し実行する力とでも言うのでしょうか、少し大人になったと思います。もっとも、親のすねはかじりまくっての話ですから、あまりかっこいいもんじゃありません。

医者の世界に限って言うなら、現役か浪人かはあまり関係ないと言っていい。もちろん、あまり年を取りすぎているのは、まわりがやりにくいかもしれません。

最終的に医者になってからの良し悪しは、学生時代の成績とかともほとんど関係が無いことが多いと言われていますし、実際自分もそうだと思います。

さて、現代社会で問題になっているのが、いわゆる就職浪人というやつ。大学を卒業しても就職先がなく、けっきょくプータロウでバイト生活なんてことが当たり前になっています。

最近は、企業が現役を優先するため、就職が決まらないと卒業を延期したり、あるいはわざと留年したりして、形だけは「現役」続行というのが問題になっています。

学歴社会という構図は相変わらず存在しているわけで(実のところ医者の世界にも確実にありますね)、その中でもさらに入り口の門が狭められているわけです。

その一方で、若者の仕事に対する覇気がないこともよく問題にされていて、例えば海外赴任を断るなんて当たり前と言われています。このままでは、日本は国際的な競争力をどんどん失ってしまうと心配されている。

他人の責任がやたらと追及されて、毎日のように頭を下げている人たちの姿がテレビに映っているような時代になってしまいましたから、若者ができるだけリスクを回避しようとする気持ちになるのは無理も無い。

なんにしても、現代社会では浪人なんてしないで、やりたい勉強をしたり、やりたい仕事をする機会をもっと若者に与えることができないものでしょうか。こういうところに、高齢化に突き進んでいる日本の根源的な問題が潜んでいるのかもとれません。