2020年4月20日月曜日

ジャズとは? 2


ジャズと呼ばれる音楽の歴史をざっと眺めてみると、ニューオリンズで音楽の様式が出来上がった当初からアンダーグラウンド的な要素が付きまといました。それはシカゴ、ニューヨークに広がるにしたがって、発展の糧のとなったのは酒と薬であったことは、全部ではないにしてもかなり深い関係と言わざるをえない。

実際、巨人と呼ばれるような名だたるミュージシャンの多くが薬物中毒者であり、実際薬によって非業の死をとけだものも少なくはありません。

そういう意味で、る90年代以降ジャズに限らず、ポップス、ロックなどのすべてが、少なくとも外見上は太陽の下で楽しめるような健全な音楽に変容してきたことは、狭い意味での「ジャズの死」を意味しているのかもしれない。

今日、ジャズと典型的に呼べる音楽はほとんど無く、ジャズのような様式を利用しただけのものが生き残っているというと言い過ぎでしょうか。少なくとも1940~1990年までの半世紀の中で生まれた過去の音楽だけで、生き生きとしたジャズを十分すぎるほど楽しめるということになります。

こう書くと気がつくのは、実はこの期間は、まさにマイルス・デイビスの活躍した期間と一致するということ。マイルスは、亡くなってすでに30年になろうとしていますが、ジャズがジャズであった時代の象徴として、最も偉大なミュージシャンとして忘れることができない存在なのです。

マイルスの音楽だけで、主だった有名ミュージシャンが集まっていますから、ジャズを楽しむのに事足りるのですが、さすがにそれだけでは偏りが大きい。他にもマイルスと絡まなかった無視できない人は大勢います。

そこで、誰もが認めるジャズの巨人を選び出してみます。こういうことを考えた時に便利なアンチョコがあります。講談社から出た「ジャズ・ジャズ 5000」というもの。

実は、これは昭和52年発行。1977年で、43年前のもの。当時、ジャズ初心者の自分がリアルタイムに購入して、これを参考にレコード盤を買ったり、ジャズ喫茶でリクエストしたりしていたんです。

便利な時代になったもので、そんな古い書籍でも、Amazonで簡単に見つけ出して、比較的状態が良い物を手に入れることができました。この本の表紙はスタイリッシュで目を引くんですが、池田満寿夫が描いたもので、氏のジャズ関連の最初の仕事です。

マイルス・デイビスとジョン・コルトレーンの二人は別格扱いで詳細なディスコグラフィーが掲載されています。そして、この二人を含めて21人を重要なジャズ・ジャイアントとして選抜していますので列挙(アイウエオ順)してみます。

アルバート・アイラー
ルイ・アームストロング
デューク・エリントン
ディジー・ガレスピー
ジョン・コルトレーン
オーネット・コールマン
エルビン・ジョーンズ
マッコイ・タイナー
マイルス・デイビス
セシル・テイラー
エリック・ドルフィ
バド・パウエル
チャーリー・パーカー
クリフォード・ブラウン
コールマン・ホーキンス
ビリー・ホリデイ
チャーリー・ミンガス
セロニアス・モンク
マックス・ローチ
ソニー・ロリンズ
渡辺貞夫

もちろん、ここにあげられた人に文句のつけようがないのですが、当時でも何であの人が抜けてるのとか、今から考えれば70年代以降に活躍した、当時の若手はほとんど入っていないので、さすがにこれだけでは物足りません。

とは言っても、最低これくらいの名前を知らないとジャズは語れないということ。今の耳であらためて聴くと、駆け出しのリスナーの時とは違った音が聞こえてくるのが楽しかったりします。