2012年5月6日日曜日

朝のこわばり

GWも今日で最後。最大9日間休んだ方は、どうでした? 今日は仕事に戻るのに、頭を少し回転させておいた方がいいかもしれませんね。

そういう自分も、めったにないクリニックの4連休。もっとも、医療法人になったとはいえ、自営みたいなものであることは変わりありませんし、休んだ分だけ収益は減るのは事実。

自分で蒔いた種ですから、借金返すまではのんびりもしてられませんから、それなりに働いてはいるんですけどね。ただ、年を取ってくるとだんだん辛くなってくるのも事実ですかね。まぁ、ぼやいていてもしょうがない、気持ちを切り替えて・・・

そうそう、年を取るといえば、朝起きたときに「なんか体の動きが悪いなぁ」とか思いませんか。思う人は、明らか中高年以上の年齢。睡眠は心身の休息で必要不可欠ですけど、休んだ分だけ歯車がストップしていたわけですから、朝起きたときは油切れ状態。

筋肉は縮こまって硬くなっているし、関節は軟骨がきしみやすい。関節の部分の骨の表面には軟骨が被さっていますけど、軟骨には血管がありません。軟骨組織が生きていくためには、関節内の貯まっている関節液が染みこんで栄養を渡す必要があります。

関節液が染みこむためには、関節を動かして圧力をかけないといけない。寝ている間、関節の動きはあまりないので、朝起きたときは軟骨はひからびたみたいな状態になっているわけです。年齢と共に関節の軟骨はすり切れていて、表面が毛羽立った状態ですから、なおさら動かすとこわばった感じが出やすいということです。

関節リウマチの診断のために世界中で利用する1987年分類基準に、「朝のこわばり」という条件が入っていました。 日本の学会でも早期基準を作る際に、この「朝のこわばり」を項目として採用して、この言葉はどんどん一般の方へも知られるようになったわけです。

ところが、実際問題、年を取ってくると「朝のこわばり」というのは当たり前のように感じられることであって、あまり病的な意味はないことが多い。こればかりを心配していたら、毎朝起きるたびに病気を考えていないといけない。

数年前に約20年ぶりに分類基準が改訂され、この「朝のこわばり」という言葉が無くなったのは、臨床家としては膝をポンっと叩いて「その通り」と思わず言いたくなることでした。リウマチでのこわばりは、基本的には1日中、短くても数時間は続くものです。

朝の支度をしているうちに忘れてしまう程度のものは、ほとんどの場合「年を取ったなぁ」と・・・それはそれで悲しいかもしれませんけどね。