昨日は全日本柔道。特に今年のオリンピックに向けての最終選考会という位置づけの大会であっただけに、各選手の気持ちの入り方は相当なものだったのでしょう。
柔道がもともと日本発祥のスポーツだけに、オリンピックでは銅ではなく、銀でもなく、金を求められるわけで、そのプレッシャーは並大抵のことではありません。
つい数週間前に肩関節脱臼した100キロ超級の鈴木桂治選手は、力を出せぬまま初戦敗退。当然、肩関節の状態はギリギリのところで、なんとか出場できるレベル。
日頃から患者さんによく説明していることですが、良いスポーツ選手の条件は、強い、ケガをしない、そしてケガをしたときちゃんと治せるだと思うんです。
町内大会ではなくオリンピックという大きな舞台を目指す、しかも年齢的にも今回の大会は最後のチャンスと考えているのでしょぅから、今回の鈴木選手の出場は「覚悟」の上だと思います。ですから、肩関節の状態が不十分でも出場したことは仕方がない。
でも、そういう鈴木選手を倒せる選手がいなくて優勝できるようでは、このクラスの若手の育成に不安を感じるわけです。鈴木選手が仮にこのままロンドンに行っても、結果についてはかなり不安が残っていたでしょうから、ある意味この結果はよかったのかもしれません。
女子も戦国時代で、有名選手だけでなく、あらたに台頭してきた選手ががんばったりしてなかなか結果が予想できない状態。そのなかで、そろそろベテランの域に入った選手が順当に勝ち抜けていきました。福見選手にしても、中村選手にしても、ものすごい闘志を秘めていながら客観的に自分の柔道を見つめることが出来るところが似ています。
とにかく代表に選出された選手の皆さんには、大きな期待がかかっています。皆さん、柔道一筋に夢を追いかけてきたことでしょうから、是非ロンドンで良い結果がだせるようにがんばってもらいたいものです。