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2012年5月20日日曜日
Laure Colladant / Woelfl Piano Works
Joseph Woelfl (1773-1812)はヨーゼフ・ヴェルフルと読むんですが、年代からしても古典派に位置するオーストリアの作曲家。知らんでしょう? いゃあ~、知りませんよ、よほどの物好きでないと。
この時代に作曲家を志した人たちは、今となっては可哀想すぎる扱いを受けているんです。巨人がONを擁してV9の全盛を誇った時のサンケイ・アトムズのような、柔らちゃんが活躍していた時の48kg級女子柔道選手のような、IBMがガリバーと呼ばれていた頃のCompaqのような・・・
とにかく、まさにルードヴィヒ・バン・ベートーヴェンという絶対神のような作曲家とほぼかぶる時期ですから、なかなか話題になるようなことはないわけです。ベートーヴェンがどんどん頭角を現し、さらに先頭を切って音楽を変えていくわけですから、すべてはそこから始まる。その他の作曲家は、その前時代のハイドンやモーツァルトを引きずり、そしてベートーヴェンの模倣扱いを受けることはやむを得ない。
実際、ヴェルフルもレオポルト・モーツァルトやミハエル・ハイドンの元で勉強したようなので、まさに典型的なベートーヴェン以外の「その他大勢」の一人。しかし、存命中は長身のイケメン音楽家として、けっこうな人気をほこったようです。
とにかく、そういうマイナー扱いの作曲家を一生懸命掘り起こす人が必ずいるもので、このフランスのロール・コラダンさんもそういう一人。17曲あるピアノ・ソナタだけでなく、ハープとの二重奏3曲、ピアノトリオ3曲まで網羅して、ピアノの入った独奏曲・室内楽全集を作ってくれました。
使用しているのはまさに時代のピアノフォルテ(銘器らしい)ですから、現代のピアノというよりは強弱のつけられるハープシコードという感じの音。これはこれで時代考証上正しいのでしょうが、もともとそのあたりにはこだわりを持たない自分の場合は、古色蒼然とした響きで全体が集まってしまったような感じがしてどうもピンとこない。
一度現代ピアノでメリハリの効いた演奏を聴ければ、だいぶ評価も変わってくるかもしれませんが、とりあえずやっぱり「その他大勢」でいいような・・・コラダン女子には申し訳ありませんが。発売されてそんなに時間もたっていないのですが、すでにHMVでは入手困難状態のようで、あまりたくさんは作られなかったようで、まさにマニア向きの一品と言えそうです