2014年2月28日金曜日

J.E.Gardiner / Verdi Messa da Requiem

世界の三大レクイエムといえば、モーツァルト、フォーレ、そしてベルディ・・・って、誰が決めたのか知りませんが、そういうことになっている。

モーツァルトは死神から作曲の依頼を受けて、自分の死期が近いと思い、自分のために楽譜を書いている最中に命が尽きた・・・なんていう伝説になっています。フォーレは、自分の亡くなった両親のために、徹底的に耽美的な静寂の世界を作り出しました。

ベルディは、一番有名なのは「椿姫」、「アイーダ」などの歌劇の仕事でしょう。19世紀なかばのイタリア歌劇はベルディによって隆盛を極めたと言っても過言ではありません。

レクイエムはもともと、ロッシーニの死を痛み複数の作曲家によって共作しようとした試みが頓挫したあとに、小説家マンゾーニの追悼のために作られたもので、ベルディが乗りに乗っていた時期に作られたもの。

初演はベルディ自信が、100人のオーケストラと120人の合唱隊を率いて行ったということで、その人数だけでも圧倒されてしまいます。教会のミサで初演したあとは、コンサートとして演奏されるようになりました。

しかし、「あまりにオペラ的」で「」教会には相応しくない」と酷評され、本人はかなり落ち込んだようです。しかし、絶賛する声も聞かれて、両方の意見は今日まで続いているわけです。

自分がこの曲を知ったのは、たぶん似たような人も多いと思うのですが、映画「バトルロイヤル」でした。''Dies irae''のド迫力の響きが効果的に使われ、大変印象に残ったわけです。

咆哮する金管と、地響きのティンパニー、そしてぐいぐい来る大合唱は、まさにこのレクイエムの象徴的なパートです。さっそく、CDを購入したのですが、それはダニエル・バレンボイム指揮のものでしたが、なんかただうるさいだけであまり面白くありませんでした。

さてあらためて、聴いてみるとなると、ここでもガーディナー盤に登場してもらうしかありません。当然コーラスはモンテヴェルディ合唱団、オーケストラはオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークです。

元の曲がいいのか、ガーディナーの力量なのか、これも素晴らしい演奏で、ピリオド奏法の集団ですが、響きもよく、まるでオペラのように華やかです・・・って、確かにそういう感じ。

キリスト教徒ではない自分としては、宗教から離れた単なる音楽として楽しめる。ただ、全体で90分近い長さはやや辛かった。60分くらいでまとまっていれば、さらに聴き疲れしなかったかもしれません。