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2014年2月6日木曜日

傑作の裏

広島出身の被爆2世の作曲家で、両耳の聞こえないことから「現代のベートーベン」とも呼ばれて話題を集めた佐村河内(さむらごうち)守さん(50)が、「交響曲第1番〈HIROSHIMA〉」などの楽曲を、実際には別の作曲家に制作を依頼していたと、佐村河内さんの代理人である弁護士が5日未明、明らかにした。音楽界などに困惑が広がっている。 ~讀賣新聞(2/5)

クラシック音楽が好き、というか音楽全般を好む人にとって驚愕のニュース。アイドル・タレントの本ならいざしらず、まさかクラシックの範疇でこういうことが起こるというのは想像もできませんでした。

去年、話題になった「交響曲第1番 HIROSHIMA」については、このブログでも取り上げたのですが、音楽としては正直つまらなかった。音の洪水という評価で、これを傑作と称して持ち上げる気にはならないのは今でも同じ。

音楽の好みは、聴く人それぞれの感性の問題ですから、その音楽がいいと思うならそれはそれでいいわけで、作曲者が誰であっても関係は無い話・・・ではありますが、なかなかそう簡単には割り切れないところ。

古くはモーツァルトの贋作とされている作品は数え切れないくらいあったりするわけですが、そうだとしてもその中には音楽として素晴らしいと思えるものもけっこうあったりします。

特に、この人の場合メディアが積極的に取り上げた事が大きい。何故取り上げたかというと、当然「聴覚障害者」だからであり、それが話題になりやすいということ。

最近の日本テレビのドラマの問題にも通じることかもしれませんが、話題作りのために障害者を利用するメディアの「常識」という図式が存在している。それは、視聴者側にも問題があって、潜在的にもそういうものを求めているということでしょうか。

テレビのドキュメントを見た後に、楽曲を聴いた人々の多くは、「聴覚障害者」が作ったと言う前提があって、それが個人の評価を「傑作」へ持ち上げる事になった部分は否定できません。

もちろん佐村河内氏の場合は、ゴーストライターの存在はもっと昔、世間に知られるようになった最初からのようですから(ほぼ全キャリア?)、本人が障害を利用して有名になろうとしたわけではないのでしょう。

メディアが取り上げて、いっきに有名になり、クラシックとしては異例のCDの売り上げを記録。当然、次回作が期待されると、本当の作曲者への要求が過大になる。佐村河内氏と真の作曲者との格差も急速に広がった事が、関係の破綻につながったのでしょうか。

なんにしても、社会に対しての「裏切り」であることは間違いなく、佐村河内氏と真の作曲者の両者に本当に才能があったとしても、二度と表舞台で取り上げられる事はなく、少なくとも一つの才能は終わりを迎えたのかもしれません。