2022年6月27日月曜日

自分史上最高傑作 2 実践編


それでは、「自分史上最高傑作」と呼ぶロースト・ビーフを実際にどのように作ったかを解説します。

用意した肉は、真偽のほどは定かではありませんが、一応「黒毛和牛」としてスーパーで売られていたものですが、定価は2500円で、しかも半額セールとかで1250円。約400gの重さがあり、厚みは約5cmです。

事前に塩胡椒をふりました。塩は0.9%というと、3.6gですが、直接振ると表面の塩分濃度はかなり高くなってしまうので、少な目に1g程度におさえました。フォークを刺したりすることはせずに、塩が少ない分、気持ち長めの4時間くらい冷蔵庫で寝かせました。

さて、冷蔵庫から取り出した肉はしっかりと空気を抜いたビニール袋に入れて、お湯を沸かした鍋の中に投入します。ここで目標とする温度はコラーゲンが緩む55゚c以上で、肉汁が出てこない65゚以下。厚みがあると中心部まで熱が伝わるのに時間がかかり、表面側に火が入り過ぎてしまうので、実際の温度は55~60゚cの間を取って、真ん中あたりの58゚cを目指しました。

水を入れた鍋の底に気泡が出来だすのが60゚cくらいからなので、調理用の温度計をぶら下げて、温度を随時モニタリングします。使用しているIHコンロは、保温設定が50゚cから5゚c刻みで可能なので、55゚cにセット。時々加熱に変えて、何とか目標温度を保つように頑張りました。

かかった時間は・・・この厚みでこの温度だと、一般に約5時間必要と言われている。そうなんです、朝から始めてお昼までずっと温度計とにらめっこしていたわけです。60゚cなら4時間、65゚cなら3時間半です。58゚cを目標する場合は、厚みと時間の数がだいたい同じと思っておくと忘れにくい。

5時間たってお湯から出してみると、少しだけ肉汁が出ていました。鍋は下から加熱しているので、鍋の上と下では温度差があるのかもしれません。表面に均一に焦げ目がつくようにバーナーで炙り、しばらく放置して粗熱が取れたら完成です。

切って驚いたのは、表面から中心までほんのり火が入った桜色ということ。こんなに色が均一に仕上がったことは、いまだかつてありませんでした。食べて驚いたのは、サクっと嚙み切れる柔らかさで、ジワーっと口の中に旨味が広がるジューシー感。均一に馴染んだ塩味もちょうど良い。

なので、「自分史上最高傑作」と自画自賛してしまう出来栄えなんですが、今回作ってみて、反省点というか、問題点というか・・・まず、ビニール袋を使いましたが、やはり空気を全部出しきれていないのが残念。そして、5時間の間、5分おきくらいに温度をチェックし続けるというのが超面倒臭い。

そのビニール袋の解決策として、すでに紹介した道具が真空フード・シーラー。これさえあれば。お手軽に食材を密閉できるので、場所によっての熱の入り具合のばらつきも最小限にできます。

そして、5時間鍋を見守り続けなくてもよくなる最大の武器が・・・・低温調理器です。欲しくなってきました・・・