年末年始診療 12月29日~1月5日は休診します
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2022年6月30日木曜日
低温調理のメリット・デメリット
そもそも、低温調理って何なん?
普通にフライパンで焼いたり、鍋で煮たりしたんじゃだめなのかということてすよね。確かに、従来はそれでよかったし、今後もそういう調理方法は続くわけです。でも、低温調理法を駆使出来れば、経験豊富な料理人たちが、経験に基づいて行ってきた最高の状態で料理を皿に並べるテクニックの一部が家庭でも楽しめるということなんです。
基本的には、食材を真空状態にパックした上で、一定の温度で湯煎にかけるということ。真空状態にすることで(あるいはできるだけ空気を排除した状態で)、ムラなく食材全体が加熱できます。
ただし、やはりそうは簡単に問屋が卸さない。低温調理のメリットとデメリットをしっかり理解しないと、せっかくの道具が無駄になり、場合によっては健康への影響も懸念されるんです。
低温調理法が最も適したレシピの一つがロースト・ビーフですが、低温調理のメリットはまさにそこに凝縮している感じです。
目標となる温度を簡単に維持して、最も食材を美味しく食べることができるように仕上げることができる。ロースト・ビーフの場合、温度が上がるにつれ生じる肉の蛋白質の熱変性の変化をうまく利用して、柔らかく嚙み切れやすい、最も肉汁を保ったジューシーな火入れができるということです。
最大のデメリットは、中途半端な火入れによって、食中毒の危険が高まること。
日本の食品の衛生管理は、比較的しっかりしているので、そもそも病原性を発揮するだけの細菌の感染した食材がスーパーの店頭に並ぶことはめったにありません。頻度が高いのは、調理中に手で触ったり、まな板や包丁などの調理器具に付着していた菌によるもの。
また、肉の表面には比較的ある程度の菌は付着しているものなので、生食する場合はきちんとした店では表面をそぎ落としています。しかし、中心部だからと言って菌がいないという保証はありません。食中毒を起こす菌は、30~50゚cぐらいで活発に活動すると言われていて、いくら低温とはいってもこれは避けるべき温度帯と言えます。
例えば食中毒の原因としてよく知られるカンピロバクター菌の場合、、殺菌するためには肉の中心部が63゚cでは30分間、70゚cなら3分間、75゚cなら1分間の加熱が必要とされています(内閣府、食品安全委員会)。中心部が63゚cに達するのに、厚さ3cmの鶏肉の場合68分かかるそうです。つまり、リスクを減らすためには63゚cならば、最低98分間かける必要があるということ。
食材によって菌は異なるので、それぞれよく調べて調理時間を決定することが重要です。殺菌に必要な最低温度は牛肉では55゚c、豚肉・鶏肉では63゚cで、それ以下の温度での調理は禁忌です。低温調理器の有名ブランドBoniqは、肉別に適正な調理時間を示した表を公開しているので参照しましょう。また基本知識を整理したガイドブックも公開されています。これらは、他社の調理器を使っていてもそのまま当てはめることができます。
雰囲気だけで、設定の温度を低くしたり、時間を短縮しないことが大事で、のんびりと安全な調理を楽しむようにしたいものです。