年末年始臨時休診のお知らせ

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2022年6月26日日曜日

自分史上最高傑作 1 理論編


・・・って、そんな大袈裟なと嘲笑されそうな話ですけど。なんてことはない、ロースト・ビーフの事。じゃあ、今までのは何だよというのは当然。

ブログにも何度も登場している自作ロースト・ビーフなんですが、はっきり言って「ゴメンナサイ」と謝るしかない。これまでのは、下手くそなロースト・ビーフでした。

表面は美味しそうなのに、中が生だったり、完全に火が入り過ぎたり、あるいは肉汁が出まくって固くなったりと中途半端な仕上がりばかり。

肉の火入れというのは、ものすごく科学的な事象で、焼いていくと肉にどのような変化が起こっていくのかを知らないとダメだということを、イタリア料理を勉強していてつくづく感じました。

これまでの作り方は、味が浸みて固い筋を切るため、フォークで肉をめった刺しにすることから始めていました。塩胡椒をしてビニール袋に密閉して数日してから火入れ。ある時は、オーブンで150゚cで1時間とか、100゚cで40分とか、煮たつ前のお湯に30分など、もういい加減としか言いようがない。

塩を振って何日も置くというのは、浸透圧の関係で肉の水分を外に出してしまうだけ。さらにフォークでブスブス刺すというのは、加熱した時の肉汁の出口を増やしているだけで、ジューシーさを無くすだけでした。

問題は肉の蛋白質。肉にはミオシン、アクチン、コラーゲンの3種類の蛋白質が含まれます。50゚cを超えると、まずミオシンが収縮し始め歯切れの良さが出始めます。55゚cを超えると、硬いコラーゲンが溶け始めゼラチン質に変わりだします。65゚cを超えると、アクチンが収縮して、細胞内の水分を放出します。そして、155゚c以上になると、メイラード反応(黒焦げの状態)が起こり、香ばしい匂いを出すのです。

50゚c以下では、どんなに頑張ってもほとんど生。肉の中心部までしっかり火が入らなければ、生の部分が残っていて、食中毒にもつながりかねないということ。また65゚c以上では、どんどん肉汁がでてしまい固くパサパサになる。

つまり、柔らかくジューシーに仕上げるためには、55゚c以上で65゚c以下という温度で調理することが絶対条件になってくるということです。

一般にステーキとして食べるような薄めの肉であれば、高めの温度設定で短時間の火入れで、メイラード反応を起こさせるために表面だけをごく短時間で焼き色を付ける。ローストビーフに使う厚めの肉は、低めの温度設定で時間をかけてゆっくり火を通し、最後に表面だけをフライパンで焦がすとか、バーナーで焼くというのが正解らしい。

ステーキであれば、明らかに固い筋がある場合は、最初に包丁で切っておくのですが、少なくともフォークめった刺しは禁忌です。塩を振るタイミングは、ステーキは、約直前に塩を振る。塩を振ったらもたもたしないことが大事。

ロースト・ビーフでは、調理後すぐに食べるのであれば、生理食塩水と同じ塩分濃度になる肉の重量に対して0.9%の塩を振り、数時間程度冷蔵庫で寝かしておく。食べるまでに時間があるなら、塩を振るのは火入れの後がベストのようです。