音楽の趣味というのは、自分で演奏するわけでなければ聴くだけです。昔はちょっとは楽器をたしなんだことはありますが、もう何年もまともに楽器をさわっていない。
ですから、最近の自分の音楽は聴くことに徹しているわけですが、自分の中にすべてを聴く意義のあるものというのがいくつかはある。ちょっと堅い表現で言うなら、制覇すべき音楽とでもいいましょうか。
聴取可能なすべての音源に耳を傾ける価値のある音楽というのは、そうあるもんじゃないでしょう。
例えば、洋楽系ならEric Claptonでしょうか。ぎりぎりBeatles世代なんですけど、たしかに最初に制覇したのはBeatlesでした。その結果はというと、まぁもういいかなという感じ。
基本的な部分で影響を受けていることは否定しませんが、表だって一生懸命聴く気はしない。たぶん、もう音楽として終わっている、あるいは完結しているからかもしれません。
その点Eric Claptonはいまだに進行形なのです。確かに、今でもLaylaで盛り上がっているかもしれませんが、年齢を重ねるに従って少しずつ音楽の幅は広がっているように思います。
Jazzなら当然、Miles Davisです。すでに故人となって18年、音楽は終結しているかもしれませんが、50年間にわたる音楽ですから、いくら聴いても自分の中では完結できません。
数年ごとに新しい発見があるのです。特にこの10年くらいは。いわゆる海賊版、Bootlegがどんどん出てきて、正規版と正規版の間をどんどん埋めてくれますので、いつになったら完結するものかまったくわかりません。
そしてクラシックです。これもまた奥が深い。とりあえず、すべてを聴くべき価値がある作曲家ということで言えば、ありふれているかもしれませんがベートーヴェンとモーツァルトでしょう。
確かにクラシック音楽の一般的な最初のスターはJ.S.バッハでしょうが、モーツァルトは音楽的に様々な様式を一般向けの音楽として確立したスーパースターです。ことさらクラシックを聴かない人でも、モーツァルトのメロディのいくつかは必ず知っているものです。
ベートーヴェンになると、大衆化した音楽を芸術の域に高めた人物として無視はできません。モーツァルトで音楽が終わっていたら、たぶん音楽はかけ捨てのものとして残らなかったのではないかと思ってしまいます。
ベートーヴェンの偉大さは、大衆に繰り返し聴く価値を認めさせたことにあります。たぶんそれが芸術というものなんでしょうね。創作活動の歴史をたどりながら、すべての曲を聴くべき大作曲家として認めざるをえません。
運命とか合唱とか、いまさらそんなのという気がしないでもありませんが、器楽曲、室内楽曲、声楽曲、宗教曲などすべてのジャンルを制覇して初めて「運命なんてさぁ・・・」と語れるように思います。
というわけで、閑なときにはHMVでいろいろなキーワードを入れて、まだ知らない世界を探索するのでした。