4月30日の早朝、WHOから新型インフルエンザの警戒レベルをフェーズ5へ引き上げると発表されました。もともと強毒の鳥インフルエンザを想定して作られたフェーズでしたが、比較的弱毒と考えられている現段階では、経済的なサービス低下となる人や物の移動の制限は勧告されませんでした。
またペルーとスイスでも感染者が確認され、感染が確認された国は12カ国。感染疑いのある国は22カ国にのぼっています。
実際のところ感染者、または感染を心配している人が医療機関に大挙して押し寄せるような状況があると医療機関側の混乱は想像に難くなく、自分も感染する恐怖もあり、メキシコでの医師の状況は推察するに忍びないところがあります。
メキシコの患者数は2498名、死者176名となっていますが、「正式に確認された」のは感染者99名、死者8名となっています。このあまりに食い違うギャップが、まさに混乱の状況を表していると言えます。
日本では、比較的しっかりとした検疫体制を俊敏に機能させたこともあってか、ここまでは患者の発生はありませんでした。しかし、この日成田空港でアメリカから帰国した乗客と、横浜でカナダから帰国していた高校生に疑いがあることがわかりました。いずれも新型ではないとの結論が出て、対応が混乱している状況も露呈しています。
特に厚労相の横浜市批判とそれに対する横浜市長の「喧嘩」は、どっちもどっち。厚労相の勇み足気味もありますが、結果として危機管理がうまく行かなかったことには違いない。ウイルスそのものよりも、そっちの方が心配かもしれません。
5月になって1日、2日はあらたに韓国、香港、フランスなどで患者が確認されました。着実に感染地域は広がりを見せているものの、死者はメキシコに集中している状況です。
5月3日までにメキシコで確認された感染者は397人で死者は16人。死亡率は4%。疑い例を含めると感染者は2500人で死者は101人で、死亡率はやはり4%です。メキシコ以外の地域での感染者は264人となっていますので、メキシコ通りに死者がでるなら10人は死亡していなければなりません。ところが、実際にはアメリカで亡くなったメキシコ人1名のみという状況です。これはやはりメキシコに特化した事態と考えざるを得ません。
日本は、GWで出国した人が帰ってくるところからが正念場になりそうです。マスク・うがい・手洗いという一般的な注意をして、多少の食料や水の備蓄はしておきましょう。特に毎日薬が必要な方は、少なくとも1週間分くらいは余分に手元に揃えておくようにしたいものです。
もしも、急にかぜ症状と熱が出た時には、すぐに最寄りの診療所や病院に行かず、まずは必ず保健所(行政の保健センター)へ連絡をしてください。これは周囲の方のためですが、自分のためでもあるのです。