整形外科クリニックのくせに、なんでそんなに新型インフルエンザの話題をとりあげるのか、と思われている方がいるんじゃないかと。
まぁ、理由の一つには、医師会の理事の仕事をしている関係で、いろいろに混乱が直接耳に入ることが多いからというのがあります。
それより、自分にとっても重大関心事である理由は、うちのクリニックには関節リウマチの患者さんが多く通院されているから、ということなんです。
関節リウマチの治療は、整形外科というより内科的な側面が多いし、特に治療に使う薬は免疫力に直接影響するわけですから、感染症に対して無関心ではいられません。
最近リウマチ治療に使われる生物学的製剤と呼ばれる薬では、事前の結核感染のチェックが必須になっています。これは、使用により結核が再発したりして重大な副作用になる患者さんが少なくないことによります。使用前の胸部レントゲン検査とツベルクリン反応検査は必ず行い、必要であれば専門医への受診が必要です。
結核は過去の病気で、蒼い顔をした文学青年がサナトリウムにいたんだみたいに思っていたら大間違い。今でも、結核菌に感染している方は少なくないので、注意が必要。
結核菌自体はけっして強い菌ではないので、発症する方は多くありませんが、薬の影響などで免疫力が下がると病気が表に出る可能性が高まる。
同じようにカビも心配。普通にどこにでもありそうで、弱い菌なのでほとんど注意をはらわないようなものが活躍するかもしれないのてす。
通常のかぜは一過性の上気道の炎症ですが、重症化して肺炎などを起こせばやっかいです。このくらいなら大丈夫と考えないで、一般的な風邪薬なら併用できますから、早めに直すことが肝心。
インフルエンザも特別にかかりやすくなるわけではありませんが、罹患すれば重症化するかもしれません。通常の季節性インフルエンザの場合、予防接種が関節リウマチの病気そのものに悪影響を与えないことはわかっています。予防接種の有効性については多少議論がありますが、できればやっておいたほうがいいと考えられています。
新型インフルエンザについても、実際のところ季節性インフルエンザとほぼ同等と考えられていますので、うがいと手洗い、それと閉鎖的な空間でのマスクの着用(屋外でマスクしてもねぇ・・・)などに注意することが大事。かからないにこしたことはありませんが、どんなに注意してもそれなりに感染するでしょうから、あわてないことが一番です。