ベートーヴェンのピアノ・ソナタは32曲。もう、何度も取り上げている話題ですが、いろいろクラシックを聴いてみると、いつかここに戻ってくるみたいなところがあります。おっと、読むのを止めないでくださいよ。
初めて全集を録音したのがシュナーベル。戦前のことです。これは音質などで物を言ってはいけません。記録としての価値が高いわけですが、それでも今では2000円以下のセットが売られているので、一応先日購入しました。まだ開いていませんが、そのうち必ず聞くつもりです。
長時間の録音が可能になり、1950年代から全集録音を行うピアニストがだんだん増えてくるわけですが、最初に定番として高い評価を得たのがバックハウスというのは異論がないところ。
以前にも書きましたが、基本的にはステレオ録音である程度の音質のものを基本と考えている自分としては、なかなかそのころのモノラル録音のものには興味がわきません。
そこで、ベートーヴェンの規範となる演奏家として評価の高いパックハウスのものとしては、1959年から1969年にかけてステレオ録音された2回目の全集を選びました。
日本のクラシック評論の神様からは絶対の評価を得ているわけですが、素人の怖さ知らずで正直に書きますと、どうもつまらない。よく言われていることですが、自分が聴いても勤勉実直な演奏で、まじめ一方の演奏でつまらない。おそらく楽譜を見ながら聴くと、一音一符そのままの演奏なのかと思います。
男性的なごつごつした演奏というような評判もよく聞かれますが、自分には感情を抑えた均整の取れた演奏で、むしろ女性的とも言えるような印象を持ちました。それが悪いと言うつもりはありませんが、ただ自分としてはあまり面白みを感じないわけです。
もっとも、アシュケナージやバレンボイムのやたらとけれん味たっぷりの演奏も好きではないのです。古い物から新しい物、男性も女性も、いろいろと10数種類の演奏を聴いてきましたが、まだまだ追いかけ続けていたらきりがありません。
最近の物では現在進行中のメジューエワの録音は大注目。また、内田光子の録音も是非続行して全集として完成してもらいたいと思います。まぁ、こういう楽しみはクラシック音楽ならではのマニアックな突っ込みどころなんですよね。
あ、やっぱり読まなくて良かったと思ってません?