年末の音楽と言えば、年越しのジャニーズ・・・ではなくて、ベートーヴェンの交響曲第九番、いわゆる「合唱」ということになります。
なぜか猫も杓子も・・・いや失礼、いろんな人がいろんな所で演奏するわけで、日本の年末の恒例行事としてしっかりと定着しているわけです。
なんでですかね。どうもNHKが1940年に行った演奏会が最初らしいのですが、本場ドイツの真似のつもりだったようです。
戦後は、楽団員や合唱団員などの大勢が出演できて、年末に少しでも多くの人に経済的な援助ができるため恒例化されたと言うことらしい。
現在では、つけで買って年末に借金返済で大わらわというのはあまり無くなってしまいましたので、経済的な理由は希薄になっているんでしょうね。
でも、特に理由もなく第九を年末に聴きたくなるのは、完全に洗脳されてしまっているのかもしれません。
これまで有名な指揮者、有名なオーケストラで録音を残していないところはないというくらい、たぶん最も多く録音されたクラシックの一つではないでしょうか。ですから、絶対的な名盤を探すというのは大変困難なことだと思います。
巨匠カラヤンとベルリンフィルは10年ごとに3回の録音があり、どれも定評があります。バーンスタインとウィーンフィルも負けてはいません。
最近の古楽器オーケストラによるものも数多くあります。もう、こうなると、聞き比べようと思っても職業的な評論家でもなければとても無理なことです。
比較的最近自分が購入したのは、小澤征爾指揮サイトウキネン・オーケストラの演奏。それはそれでよかったのですが、本当は自分の第九の原点はカール・ベームの指揮によるものなのです。
たぶん購入したのは中学生の頃。クラシックの名門グラモフォン・レコードの二枚組でした。ネットで調べるとベームの第九は10種類ぐらいあるようで、時期からして自分が持っていたのは70年録音のウィーンフィルとの演奏だと思います。
ベームは同時期のカラヤンなどと比べて大変地味な「おじさん」風だったし、生前最後の録音となった80年盤がテンポ設定などで大変注目を集めたので、当然この盤は現在あまり話題にならないようです。
オーケストラの調音のような出だしから一気に大音量の合奏が始まり、超重量級オーケストラの迫力に圧倒された物です。最終楽章の歓喜の歌にも心打たれ、当時まったくわからないドイツ語の歌詞をカタカナで真似していたのを思い出します。
ありきたりのようではありますが、除夜の鐘が始まるまでに、是非とも聴いておきたい一枚なのでした。