2009年12月14日月曜日

外来

開業すると外来診療一本。外科系の医者としては、外来・病棟・手術という3つの翁柱があるのですが、そのうちの病棟と手術という大きな柱がないわけで、これはけっこう大変なことなのです。

外来は大変疲れるのであまり好きではないという医者が多いと思うわけで、自分も勤務医の時にはそういう一人でした。外来があるから患者さんが来るわけで、外来なしでは病棟も手術もあり得ないにもかかわらずです。

病棟は大変ですが、それほどストレスは感じませんでした。外来と病棟の違いは、患者さんのペースに合わせて仕事をするのか、自分のペースでやるのかの違いなんだと思います。

手術は完全にマイ・ワールド。執刀すれば自分が主役で、まさに患者さんをよくするのも自分なら、悪くするのも自分。

「お願いします」と言って手術が始まると、周りの人は終わって「ありがとうございました」と言うまで自分のために動いてくれているのです。これはすごいことです。そうそう簡単に他人を支配するなんてことはできることではありません。

しかし、外来だけの開業医になってみて、外来の楽しさというものがやっとわかってきました。ただ、やはりひたすら喋り続けるのは体力的にもしんどいものがあります。

患者さんがいっぺんに来て、待たせていることを気にしながら焦る気持ちを抑えているのは大変。一方、ポツンポツンとしか来なくて、一人終わる頃にはまた一人という状態が続くのも疲れるんですよね。これで一息と思っていたのになかなかきりがつかず、トイレに行きたいのにいけないみたいな感じです。

まぁ、贅沢を言ってはいけないですよね。クリニックなんて、笛太鼓で患者さんを呼び込むわけにもいきませんし、景品で釣るわけにも行きません。

救急車は患者さんの病院の選択権は希薄ですが、クリニックの患者さんはほとんどの場合、うちを選んできてくれているわけですから。