2011年4月30日土曜日

Martha Argerich / Chopin & Schumann Concertos


現役の中で、最も優れたクラシックピアノ奏者は誰か?

完璧に譜面を弾きこなすことが絶対条件と考えるか、多少のミスよりも心を動かす情感に重点をおくか、はたまたヴィジュアル重視で選択するか。まぁ、いろいろな基準があるので、あまりこんな問いかけに真面目に考えない方が良いに決まっています。

しかし、アルゲリッチは少なくとも大方の人が最高峰の一人という認識を持っている数少ない現役ピアニストであることは、疑いの余地はありません。かつてはその聡明な美貌で、幾多の男性音楽家を虜にしてきたアルゲリッチも、今年の6月5日で70歳になろうとしています。

主として60年代から始まるキャリアは、ドイツ・グラモフォン、フィリップスそしてEMIというそうそうたるレーベルに集約されます。今年は、EMIが集大成のBOXをもうすぐ発売し、アルゲリッチの演奏を再確認しやすい環境が整いました。

アルゲリッチは日本との関わりも多く、毎年のように来日していますが、昨年は11月から12月にかけてちょうど生誕200年というショパンとシューマンの協奏曲のライブを行っています。

それが、わずか半年足らずで急遽CDとして発売されることになりました。これは、東日本大震災のチャリティとして、アルゲリッチをはじめ指揮者のアルミンク、新日本フィルなど演奏者全員が印税を放棄しています。震災で楽器や楽譜などを失った人々への支援として売り上げが使われるということです。

いろいろな立場の人が、それぞれのできることで日本を盛り立てようとしていることが、素直に嬉しい気がします。廉価盤ばかりを買っている身としては、一枚3000円という値段は今時ずいぶんと高い気がしますが、内容もさることながら、その発売の主旨を考えるとファンとして購入しなければと思います。