2012年2月19日日曜日

万年筆


万年筆・・・というのは、最近の若者には見たことがないという人はもちろん、そもそも知らない人もいるんじゃないかと思います。

19世紀初頭に発明され、ある程度完成されたのが19世紀末。その頃には日本にも入ってきたわけで、20世紀を代表する文房具の一つと言えるんじゃないでしょうか。

モンブラン、ペリカン、パーカー、シェーファーといった海外メーカーのものは、使う者にとっては垂涎の的でした。日本製なら、プラチナ、パイロット、セーラーとくるわけですが、やはりちょっと寂しい。

自分も万年筆は、実は大好きで高校から大学のころはけっこうメインの筆記具として使っていたものです。ボールペンもあったのですが、30~40年前はインクが「ぼてる」ことが多くて、紙を汚しやすかった。鉛筆はすでに過去の物になり、シャーペンが普通に使われていた時代。

日本テレビで日曜日午後6時半からピーナツとクレイジーキャッツの「シャボン玉ホリデー」があって、その前のフォーリーブスの「プラチナゴールデンショー」とセットで人気をはくした物です。プラチナのテーマソング「♪ 僕の日記プラチナ、愛の手紙プラチナ・・・」は知らない昭和人はいませんよね。

万年筆を好んで使う高校生というのもずいぶんと生意気な感じですが、当時は中学や高校の入学祝いの定番の一つでもあったわけです。確かセーラーかパイロットの安物を持っていたように思いますが、これをそのまま使うのではありません。

普通はペン先を上にして書くわけですが、わざと180度回転させて、ペ先を下に向けて書いていたのです。そうすると、驚くほど細い字が書ける。わずか5mm四方程度の細かい字をノートにびっしりと書くのは、ポールペンやシャーペンでは不可能といっていい。

だから何? と言われると、困るのですが、そんな理由で万年筆を使っていたというわけです。医者になってから外科をローテーションした時に、記念にということで、その時の直接指導してくれた先輩がモンブランの万年筆をくれました。さすがに違うモンだと感激したのを覚えていますし、今でもこの万年筆だけはとってあります。

時代はデジタルとなり、筆記具の形態もかわり、そもそも紙に何かを書くという作業は随分と減りました。しかし、万年筆のようなアナログの極致というような文房具はずっと使い続けられてもらいたいような気持ちになります。