今日の勉強は・・・肝炎。
えっ? あんた肝臓病の専門なの? って、そんなわきゃない。関節リウマチは確かに専門ですとあちこちで言っていますが、肝臓のことはさすがに門外漢です。
抗リウマチ薬の副作用では、肝機能はしばしば異常値になり注意が必要。定期的な検査で早めに異常をキャッチしないといけません。薬の影響は、薬を減量したり中止したりして回復を待ちます。
ところが、昨年新聞にいきなり掲載されて話題になったのが、抗リウマチ薬を使用することで隠れていた肝炎ウィルスが暴れ出すということ。
これは数年前から言われ始めていたことですが、なかなか一定の見解がなく混乱していたことなのですが、ある程度のコンセンサスを得たガイドラインが作られました。
乳幼児期にB型肝炎ウィルスに感染し、持続的に感染状態が続いている状態をキャリアといいます。日本では百数十万人いると言われています。キャリアの90%は非活動性ですが、10%が慢性肝炎を発症し、その中の4人に1人が肝硬変になり、さらにその中の年に20人に1人はガンになるのです。
ところが、非活動性のキャリアでもリウマチの治療で使う薬の影響で、免疫力が低下すると再活性化して肝炎を発症するということがわかってきました。一過性の感染に終わった肝炎患者さんの中にも、まれに同じようなことが起こることがわかっています。
実際の発生頻度は、正確にはわかっていません。それほど多い物ではないことは確かですが、再活性化した場合は激症肝炎といって、命に関わる重篤な状態を起こす確率が高いために無視できないのです。
スクリーニング・レベルは当然、薬を使う我々が行うとしても、実際に肝炎を起こしうる可能性が判明した場合には肝臓病専門医との連携が必須となってきます。
一つの病気を一つの専門家だけで管理できる時代は過去の物。リウマチひとつをとってみても、呼吸器の専門家、肝臓の専門家、腎臓の専門家、糖尿やコレステロールの専門家などいろいろな医者との連携が重要です。
ですから、自分も患者さんが安心して受診できるように、病診(病院と診療所)連携・診診(診療所同士)連携の強化については積極的に関わるようにしています。田園都市リウマチフォーラムという勉強会もその一環。もうじき聖マリアンナ医科大学との連携も始まる予定です。
とにかく、どんどん勉強することが増える一方で、ホント大変です。・・・なんて泣き言を言っている場合じゃありませんね。