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2012年3月5日月曜日

Onslow Complete Trio / Trio Cascades


最近はピアノ多重奏にこっているのです。典型的には、最も多いのがピアノにヴァイオリンとチェロがくわわったトリオ。さらにヴァイオリンかヴィオラが1本追加されるとクァルテット。ピアノ+弦楽四重奏でクインテットですが、クインテットあたりから楽器編成のヴァリエーションが増えてきます。

あまり歴史的なことは調べていないのですが、室内楽というのはもともと大編成オーケストラの音楽を家庭で楽しむためにコンパクトに編曲したものがあります。そして、楽器そのものの習熟を目標とした単独楽器に伴奏楽器をひとつつけた形態も存在していて、どちらかというと現代では後者が室内楽の主流でしょうか。

コンパクト版室内楽はモーツァルトやベートーヴェンが多い。二人は超人気作曲家だったということでしょう。手軽に彼らの音楽を家でも楽しみたいというニーズがあったということ。逆にコンパクト版があったから、人気に拍車がかかったという面もあるに違いありません。

コンパクト版は、大きなオーケストラ版よりも音のエッセンスを取り出したようなところがあって、曲の構成をシンプルに理解することにも役に立ち、協奏曲ではソロ楽器の動きがより鮮明になるところが面白い。

一方単独楽器の演奏から派生したものは、楽器の技巧を競ったり、あるいは楽器の特性による美しさを前面に出す物が多くなります。これは、アンサンブルが大きくなるほどどうしても薄れていくわけで、楽器の数は少ないほど面白い。

デュオの場合は、ピアノはどちらかというと伴奏という立場であることが多く、そういう意味ではベートーヴェンは異例の存在。ベートーヴェンは独奏楽器とピアノがほぼ対等であるところがスリリング。

トリオは、各楽器の対等性アンサンブルとしては一般的な最小単位として機能していて、一度に出せる音が多いピアノがオーケストラを代弁している部分が多いことは多いのですが、他の楽器が強調してピアノの伴奏に回る部分が出てくるわけで、このあたりのバランスが楽しい。

さてさて、そんなピアノ三重奏をいろいろ探してみると、定番はだいたい決まっているわけです。録音をたくさん遺している人気のあるユニットが取り上げるのは、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマンあたり。

独奏と違って、アンサンブルの制約からそれほどグルーブ間での違いで出にくいので、さすがに数種類聴くとあまりそれ以上集める気持ちにはなりません。そこで、マイナーなものをあさっていく作業に早くも突入しているわけです。

フランスのベートーヴェンと呼ばれているのがジョルジュ・オンスロウ。この作曲家は室内楽を精力的に作っていて、三重奏もかなりの数が遺されています。

マニアックな録音が多く、けっこうマニアには注目のCPOレーベルから全CD4枚で全集が出ていて、その全貌を聴くことができます。演奏しているTrio Cascadesというのは他の録音が見あたらないのでよくわかりませんが、堅実な演奏で可もなく不可もないという感じ。

音楽としては無難な流れで、さすがに定番として演奏はされないかと思います。でも、力の入っていない曲調は好感が持てますし、ゆっくりと休日を過ごすときに聴くにはちょうどいいかもしれません。