世界に誇れる、そして実際に世界が認めるバッハ演奏家であるBach Collegium Japanを率いる鈴木雅明による世俗カンタータ全集が完結しました。
すでに、宗教カンタータは完結し、巨大な高価な日本版ボックスとしてまとめられています。去年には廉価な海外版も発売されて、かなりお求めやすくなりました。
世俗カンタータは、宗教カンタータに比べると、やや軽んじられる傾向がありますが、それは多くが宗教カンタータからの転用が多いためだろうと思います。
でも、初出のものも少なくはありません。また、教会での演奏とは違い、作曲者バッハ自身も制約がとれた分、自由に伸び伸びと曲作りをしたところもあり、エンターテイメントとしても楽しめると思います。
ただし、教会の記録などが残っていないため、世俗カンタータの全容については不明な点が多々あります。誰のために、どんな目的で作曲されたのか、そしていつどこで初演されたのかがよくわからない。
そもそも、全部でどれだけのものが作られたのかも定かではありません。現在、演奏可能な形で残されているのは多くなく、一般的に20曲程度とされています。
さて、BCJの世俗カンタータはCD8枚。年末、あるいは来年には豪華ボックスが登場するだろうことは容易に想像できるのですが、すでにひとつずつ買いそろえてしまったので、いまさら後にはひけず、先月登場した最終巻もポチっとしてしまいました。
あいかわらず、正統派の襟を正した演奏は見事。ゲストの歌手もまったく違和感なく溶け込むので、BCJとしてのスタイルが崩れない。
これで、鈴木雅明とBCJは、バッハの宗教・世俗声楽曲はもコラール集を除いてすべて網羅したことになり、バッハだけにとどまらず、クラシック音楽界全体でも金字塔として記憶される偉大な業績といえると思います。
器楽曲についてもかなり録音していますから、鈴木雅明個人及びBCJだけによる単独バッハ全集の完成も夢ではなくなってきます。とっくに考えているかもしれませんが、密かに期待したいと思います。