もう一人、若手のピアニストで人気があるのは・・・中国人のユジャ・ワンかな。
ブニアティアシヴィリと同い年で、1987年生まれ。こちらも今年で30歳。実際のところブニアティシヴィリよりも、早くから注目されていたといってもいいか。
何しろCDメジャー・デヴューは2009年の王道のショパン・アルバムで、しかも名だたるドイツグラモフォンからのリリース。
ブニアティアシヴィリは2011年にSony Classicalからリスト・アルバムでデヴューですから対称的です。
そういうこともあってか、二人とも超の上をいくバカテクなんですが、その演奏スタイルもロマンのユジャとパワーのブニアティアシヴィリという印象を持ちます。
ヴィジュアルは・・・って、ここも大事。昔と違って動画が簡単に見れる時代ですから、いかにクラシックといえども見た目のインパクトはかなり関与してくる。
スタイルについては、ブニアティアシヴィリの圧倒的な勝ちであることは文句の付け所がありません。本人も自分をどう見せるか、かなり意識していると思います。演奏中の動きも派手。
ユジャ・ワンは小柄な、いかにも東洋人という感じですが、昔のピアニストのイメージからすればけっこう攻めているファッションです。演奏スタイルは比較的動きは少なく、とにかく音楽の中身を伝えることに集中している感じ。
結局、静のユジャ・ワンと動のブニアティアシヴィリ、「お嬢様」のユジャ・ワンと「ギャル」のブニアティアシヴィリみたいなところがあったりします。
そこで、ラフマニノフです。最近はまっている協奏曲第3番なんですが、ユジャは2013年のアルバムがあります。第2番はすでに2011年にリリースしています。
比較的淡々と弾いている感じがしますが、一つ一つの音を確実にこなしていく感じで安定感は抜群。あまりにさらっと弾いてしまうので、難しさが陰を潜めてラフマニノフのロマンティシズムが前面に出た演奏として好感が持てる。
あらためてブニアティアシヴィリの演奏を聴くと、こちらは音符がまとまってしまっても気にしないで、全体のダイナミックさを強く出した演奏でかっこいい。
どちらがいいかっていうのは好みの分かれるところですけど、まぁ贅沢にどっちも楽しむことができるのは野次馬の特権ですよね。