2026年2月22日日曜日
SEKAI NO OWARI / EYE・LIP (2019)
SEKAI NO OWARIは、メジャー・デヴューして、2012年から2018年までにオリジナル・アルバムは2枚発表しています。音楽活動としては寡作という感じですが、この間にそこそこの数のシングル曲を加えながら、彼らの考えるファンタジーの世界を具現化したテーマ・パークのようなステージを繰り広げてきました。
2019年2月に、満を持してという感じで、前作から約4年ぶりとなる新しいアルバムが発売されます。しかも、「Eye」と「Lip」という表裏一体のような2枚の同時発売で、合わせて全26曲(既発売の6つのシングル曲を含む)というボリュームは、さすがに時間をかけたという感じがします。
実質的に2枚組の大作ですが、コンセプトは「目は口ほどに物を言い」ではなく「目と口は異なる物を語る」ということであり、これまでのセカオワ・ファンタジーからこどもっぽい部分をそぎ落として、大人のためのファンタジー世界を展開しました。そういう意味では、単に「売れる音楽」というより、彼らのダークな面が強調された作品に仕上がっています。
間違いなくバンドの中心メンバーはFukaseですが、SEKAI NO OWARIを楽曲やステージを知るためには、彼の生い立ちに触れないわけにはいきません。
本名、深瀬智、1985年東京都大田区生まれ。中学の時に、いじめにあい不登校になりますが、幼馴染のNakajinだけが、毎朝迎えに来てくれたそうです。高校に進学するとパニック障害を発症し、一時的に精神科の閉鎖病棟に入院し、精神科薬の副作用にも苦しみました。すべてを失ったかのように考えるそんなFukaseを立ち直らせたのが、Nakajinらと始めたバンド活動でした。
世間を否定的に見る面と、それでも何かを信じていきたいという気持ちが発露した楽曲が多いのは、そのような経緯があったことを踏まえると、上っ面だけ弱者の味方をしているわけではなく、自分の心の叫びそのものであることがわかってきます。
2015年の日産スタジアムでのライブで、初めて自分たちの成功を確信できたFukaseは、MCの中で「いろいろ苦労してきたけど、ついにここまで昇りつめた」と言い「みんなも負けるな」と檄を飛ばしました。普通なら「みなさんありがとう」と言いそうなところだったので、最初は違和感を感じたのですが、Fukaseの生い立ちの一端を知ると何となく理解できました。
ですから、何となく生きづらさみたいなことを感じている現代人の多くに、直接的に刺さる音楽になっていることが、彼らの成功の理由にあることは間違いない。しかも、単なる励ましではなく、自らが社会的弱者から這い上がって来たところが多くの共感を得ているのだと思います。
