ピアノ曲をいろいろ聴いていると、クラシックという枠組みの中では当然曲数には限界があるわけです。って、当然クラシックの作曲家は大多数過去の人ですから当たり前。
そりゃ、いきなりベートーヴェンの未発表の楽譜が見つかったりしないとは言えません。現代の傑出した作曲家の曲が加わっていくことも、忘れてはいけません。
まぁ、そういうのは研究家や評論家の仕事でしょうから、自分のような一般の傍観者にとっては、有限の世界であることに変わりありません。
そこで、他に聴いたことがない作曲家はいないかと探し始めるわけです。だんだんマニアックな方向に走り出しているようですが、いくら有限とはいっても知らなかった曲は山ほどあるわけで、あんなのもこんなのもと探しているとけっこう楽しいものです。
クララ・シューマンはクラシックの世界では珍しい女性の作曲家。1819年に生まれ、子供の頃から卓越したピアニストとして名をはせたそうです。作曲も行いましたが、当時は女性の仕事として認められていなかったため30代でやめてしまいました。
ですから、遺された曲は多くはありません。クララ・シューマンの名を今に残す最大の理由は、やはりロベルト・シューマンの妻ということでしょう。若くしてシューマンが亡くなった後は、シューマンの作曲を後世にに伝えることに努力しました。またブラームスとの親交も有名な話のようです。
さて、録音されているものはそうは多くありませんが、それらを収集してインターネットで公開している熱心なファンも日本にいます。そこでも「ジャンル問わず、イチオシCD」として推薦しているのがこれ、Jozef de Beenhouwerの演奏するComplete Piano Worksです。
前出のホームページに詳しい解説がありますが、とにかくBeenhouwer氏は執念で全ピアノ曲を探し出したようです。
さて内容ですが、いろいろなスタイルが出てくる感じがして、やや統一感がないようなところがあると思います。バッハ風、モーツァルト風、ショパン風、そしてロベルト・シューマン風など、いろいろな顔を見いだせます。
しかし、全体にやはり女性的なロマンが通っていて、大変聞きやすい。ロマン派が好きな方なら必ず満足できると思いますし、また録音も大変素晴らしい。
ちょっと知っていると自慢したくなるCDなのでした。