2015年6月22日月曜日

燃料電池車

日本人は原子力というものに対しては、一種のアレルギーのような感情を持っていて、世界で唯一の被爆国という状況を考えると、それもしかたがないというところでしょうか。

歴史的には、原子爆弾の次に作られたのが水素爆弾。ですから、原子力エネルギーに代わる期待も含めて注目されている水素エネルギーに対しても、原子力と同じ様な不安を感じる方がいても不思議はない。

恐怖というのは、無知の裏返しという側面もあって、水素エネルギーというものも、今からある程度は理解しておくことが大切です。

そういう自分も、実はあまりわかっちゃいない。何となく、地球環境にやさしくて、車などに利用すると、電気自動車よりも長距離走れていいらしいということくらいしか知りません。

水は原子記号だとH2Oですが、これが電気を通すと水素H2と酸素O2に分かれます。これを水の電気分解と呼ぶことは、遥か昔の高校生の時に物理学で習ったような気がします。

水素エネルギーというのは、その逆のことを起こしているもの。水素と酸素を混ぜることで、電気を発生させるわけです。その時、出てくるものは水だけというのですから、こりゃ嬉しい。

電気自動車で利用する電池は、現状ではリチウム電池が、最もコンパクトで蓄電量もあります。ただし、発熱の問題と、現行の自動車のような一度の給油で最低でも4~500kmくらいは走りたいと思うと、かなりの重量になってしまう。

街乗りで、一度に走る距離が長くなく、毎日のように充電するのでよければ、十分に実用化していますが、いざ旅行などで長距離を走ろうと思うと、かなりの不安を抱えていくことになる。

ハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車の利点は、電池が無くなっても、ガソリンで走行が可能なこと。電池切れの電気自動車は、重たいただの塊にしかなりません。

急速充電ができるスポットは増えたと言っても、1か所に何基に備わっていることは稀。誰かが先に充電を始めていたら、場合によっては1時間近く待つことになってしまいます。

水素エネルギーを利用した燃料電池車は、昨年トヨタがその第一弾としてミライを発売しました。しかし、現実にはまだまだ一般に浸透するところまではいっていない。

水素の運搬方法、ステーションでの貯蔵方法、車への供給方法などなど、基本的なインフラが確立しているとは言えません。実際、水素ステーションは、現在のところ首都圏で数か所しかなく、「ガス欠」のために何十キロも走らないといけない。

ミライは、あくまでも実用化した見本と考えしかないわけで、今買うことにしても納車は2年以上先のこと。2年後だと、燃料電池車実用化第2弾が登場していてもおかしくはない。

自動車会社がどのようなロードマップを考えているのかはわかりませんが、向う5年間は普通車はハイブリッド車が中心で、軽だと電気という選択もあるかもしれません。

2020年以後に、普及型の燃料電池車がじわじわと出てくるのかもしれません。東京オリンピックでの、会場の移動などは水素エネルギーで走る車が使われているはずですし、会場の照明なども水素エネルギーがふんだんに用いられていることを期待します。