2015年6月5日金曜日

レントゲン・トラブル

パソコンは、壊れるものだという大前提を忘れてはいけません。今までも、何度も痛い目にあって、散々体で覚えてきた事ですが、やはりいつのまにか忘れていて、困り果てるという・・・

新規にクリニックを始める場合には、最近では電子カルテの導入は90%以上だそうです。診療報酬の請求業務もオンラインでの送信が基本になっていますし、当然といえば当然。

電子カルテということは、パソコンが必要。電子カルテは、文字ベースのデータベースですから、ソフトウェアとしてはたいしたハードは必要ありません。

もうひとつ電子化を導入する部分が、画像検査についてのもの。レントゲン検査をすると、昔はフィルムを暗室で現像するという作業をしていましたが、自分が医者になった頃から自動現像機というものが登場。ずいぶんとお手軽になりました。

それでも、フィルムの保管はかなりの場所を必要とするので、増えてくると重量もあり、けっこう大変。15年くらい前からは、デジタル化されたものが普及しだし、今では最初から電子化したシステムを導入するのが当たり前。

撮影したものは、読取機で読み取って、そのままレントゲン写真専用の画像フォーマットであるDICOMという形式で、管理するサーバーに送り整理・保存します。診察室からは、このサーバーからデータをもらって表示するという仕組みで、これら全体のシステムをPACSと呼んでいます。

時には、レントゲン以外のCTやMRI、エコー検査などの画像も統合して管理できますので、ペーパーレスにしたければ、ありとあらゆる紙情報もスキャンして取り込むことも可能。

つまり、言ってみれば、こちらは画像ベースのデータベース・システム。電子カルテに比べると、データ量はかなり増えてしまいます。とは言っても、レントゲン検査の料が多いうちのような整形外科クリニックでも、どんなに多くても年間数十ギガ程度。

最近のテラ単位のハードであれば、バックアップも余裕で管理できます。ちなみに、うちはレントゲン画像と、超音波検査画像、そして外部からのデジタル化された画像データを取り込んでいますが、だいたい1年で40GBくらいでしょうか。

さて、今回トラブルを起こしたのはこのDICOMサーバー。PACSのシステムは、大手のものは数百万円以上もかかる高い買い物で、なかなか簡単に決断しにくいものです。うちも開院時に、できるだけ安くすませようと業界一安いのではないかと思われた機種を導入しました。

やっていることはたいしたことではないので、ハードとしては特に問題は無く、これまできたのですが、一度データを保管していたNASが壊れてあわてたことがありました。サーバー本体は、予備機も用意してあるので、なんかあっても大丈夫とたかをくくっていました。

今週、午前中までは何事もなく運用していたのですが、午後に急に画像が診察室に送れないという事態が発生。サーバーが落ちていて、再起動させてもLANへつながらない。予備機に交換しても、同じ状況。

サーバー自体が壊れたわけではなく、何かLAN回線のどこか・・・つまりルーターの故障かとも思いましたが、こんな小さいクリニックでも、配電盤の中には大小6つくらいのルーターが組み込まれ、どれがどうだかまったくわからない。

このあたりのシステムを構築した業者は、すでに担当者はとっくにいませんし、今更尋ねようが無い。DICOMサーバーの会社は、実はとっくに取り扱いをやめていて、そもそも電話もつながらないという状況。

こうなると、素人的に下手にいじって、院内LAN全体をおかしくすると業務全体に影響が出ますので、もうお手上げ状態です。こうなると、大手に頼むしかありません。うちのデジタル・レントゲンはコニカミノルタですので、接続上確実に問題を起こさないのは同じ会社のシステム。

昨日は急遽午後からコニカミノルタの方に来てもらい、状況を説明し、とにかく極力早くのシステム設置を依頼しました。とは言っても、ハイ、明日というわけにはいきません。

当面、撮影したら、レントゲン室でしか見れないので、写真の説明はレントゲン室でするしかなく、かなり不便ですが、他に方法も無いのであきらめるしかありません。

そもそもお金もどんだけかかるか、戦々恐々ですが、患者さんにも不便をかけることなので、金額の事を言ってもしょうがない。来週中には何とかなるかな、と切に切に祈りながらがんばるしかありません。