2015年6月9日火曜日

中東呼吸器症候群 (MERS)

関東地方は梅雨入りです。平年並みだそうですが、しばらく、じとじと、じめじめ、ばい菌も増えそうで、あまり楽しくはありません。

ところで、2002年に中国から始まったコロナウィルスによる重症呼吸器感染症を、SARS (Sever Acute Respiratory Syndrome) と呼び、一般的にはサーズという名称が浸透しています。

これは2003年にWHOから終息宣言が出され、中国では10人に一人程度の致死率でしたが、確認された感染例は、国内ではありませんでした。

今回、韓国で問題になっているのはMERS (Middle East Respiratoty Syndrome) であり、同じコロナウィルスによる感染症です。

これはイギリス起源なのですが、中東渡航歴のある男性から始まったとされています。サウジアラビアなどを中心に、これまで1200例弱の発生の報告が上がっているようです。死亡率は30%程度で、SARSよりも高くなっているようです。

中東地域以外での流行は、韓国が初めてで、6月6日までに感染者64名で、うち死亡は5名と発表されています。今のところ、日本国内では発生していませんが、海を隔てているとはいっても、すぐ隣の国のことですから、十分な検疫体制がすぐにひかれました。

コロナウィルスは、通常のかぜの原因としてはありふれたものですが、突然変異を起こしやすくSARSやMERSのウィルスは遺伝子的にはだいぶ異なるものだそうです。

変異しやすいということは、ワクチンなどの作りにくいということで、治療方法も対症的な治療のみで、患者さんの体力頼みになる。ですから、とにかく予防に重点を置くことが重要なのですが、実際の感染経路については不明な点が多い。

人から人の感染は、飛沫あるいは直接の接触によるものと考えられていますが、1週間前後の潜伏期をへて、発熱を伴うインフルエンザ様症状で発症します。インフルエンザと違って、発症後1週間以内に重症肺炎を引き起こすことが問題になっています。

高齢者、免疫機能に問題のある方、あるいは免疫を抑制するリウマチ薬などを服用している方は、ふだんからの手洗い、うがい、マスクなどで注意をする必要があります。