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2016年9月7日水曜日

パラリンピック


パラリンピックが今日開幕です。

通常のオリンピックに比べると、日程も短く、競技の種類も少ないですから、どうしても地味な印象になるのはしかたがない。

しかし、考えてみれば、いろいろな肉体的なハンディを持った選手たちが、努力に努力を重ねて、常人をはるかに超える力を発揮するわけですから、ものすごい大会だと思います。

日本人選手も、多くの競技に参加しますので、応援する気持ちを忘れずに注目していたいと思います。

パラリンピックという言葉が使われるようになったのは、1988年ソウル大会からで、比較的新しいこと。起源とされるのは、イギリスで1948年に病院内で行われた患者によるアーチェリー大会。

その後も毎年のように開催されていたのですが、1960年ローマ大会の時に、初めてオリンピックと同時開催になり、この時を事実上「第1回大会」とするようです。

整形外科では、脊髄損傷という重大なけがを扱います。大学病院にいるときは急性期、つまり受傷してから数週間を扱います。

この時期は、患者さんは手足を動かせないこと・・・それも、ほとんどの場合は生涯続くことに、ショックを受け悲嘆し、そして後悔し、さらにそういう自分を否定する複雑な心の変化があります。

その後に、やっと障害を受容する時期が来て、リハビリテーションに本格的に取り組むわけですが、自分が脊髄損傷専門のリハビリテーション病院に出向していたときに、車椅子を自由自在に操りバスケットをする患者さんを何人も見ました。

もちろん、障害の重症度によっては、毎日生きていくだけで精一杯という患者さんもいて、誰もがスポーツを通して社会性を回復させることができるわけではありません。

ただ、リハビリテーションの本来の意味は「日常性の再獲得」であって、失われた機能を回復させること目が行きがちですけど、重要なことは残された機能を引き上げていくことです。

パラリンピックは、いろいろな障害があっても、残された力を最大限に発揮するための目標として、重要な意味があるスポーツ大会になっていると思います。

通常のオリンピックがコマーシャル化して、一部もう止めてもいいんじゃないかと思わせるような問題がいろいろ出てきていますが、パラリンピックはそういうことと無関係に維持存続してもらいたいと思います。