邦題は「ショーシャンクの空に」です。原題を直訳すると「ショーシャンク(刑務所)の救い」という感じか。
原作は「キャリー」「シャイニング」で有名なスティーブン・キング。キングというとホラー作家というイメージですが、映画化されたものでは「グリーンマイル」、「スタンド・バイ・ミー」、そして本作のようなヒューマン・ドラマも少なくありません。
この映画の監督は、ハンガリー出身のフランク・ダラボンですが、本作と「グリーンマイル」以外には、目立った作品はありません。
この映画は、公開時は興業的にも成功作とは言えませんでしたが、その後じわじわと人気が出始めて、今では世界中のランキングの上位に必ず選出されるほどの評価の高い作品となりました。
ただし、日本では公開時にキネマ旬報の年間一位になっています。ビデオ時代になって、「ブレード・ランナー」のように、もう一度見たいと思う、見たら感動するという評価が次第に浸透していきました。
1947年、妻殺しの冤罪でショーシャンク刑務所に収監された銀行員のデュフレーンは、調達家のレッドらと仲良くなり、劣悪な刑務所生活を送るようになります。刑務官の税金上の悩みを解決したことで、所長の隠し財産の管理を任されるようになりました。
デュフレーンは20年間におよぶ獄中生活を続けたのですが、ついに冤罪を証明できるかもしれない手掛かりを得ました。ところが、所長らによって証人を闇に葬られ、ついに嵐の夜に独房から消えていたのです・・・・
長く刑務所にいると、そこでの生活が身についてしまい、高齢になって釈放されても外の世界に馴染むことができないというエピソードが強調されています。最初にカメラが刑務所の外に出た時、それは元受刑者の老人の自殺を描いていました。
主人公は冤罪を晴らすことはできず、仲間のレッドも釈放されて外の世界に疎遠感を強くしています。刑務所の中にいても、外に出ても「絶望」しかない状況がつづられている中で、ラストのハッピーエンドに向かっての展開は、性急で違和感を感じました。
(原作には無いエンディングの付け足しもあって)見終わった後の後味の悪さはありませんが、結局主人公が冤罪である必然性が薄れてしまった感は否めません。いくつかのテーマが混在して、最終的にいいとこどりした結末でまとめたというところ。
というわけで、アマノジャクな自分としては、平均点のヒューマンドラマという位置づけになりそうです。見る価値はありますし、人に勧めることもできますが、基本的に一度見ればいいかなと思っています。