イラク戦争末期、要請により偵察に赴いた二人のアメリカ兵が、敵の伝説的なスナイパーに狙われます。一人がやられ、残ったアイザックは負傷して崩れかけの壁に隠れます。
そこに無線機を通じて流れて来た敵の声。相手は、いろいろな質問をしたり、逆にこちらの問いかけに返事をしなかったりと、様々な揺さぶりをかけてくるのでした。
・・・という、戦争映画というよりは、見えない敵による心理的な戦いという、ある種のサイコスリラーのような感じです。
まず、驚かされるのは、この映画がAmazon謹製ということ。へぇ~、こんなところにまで進出しているんだとびっくり。
次に驚くのは、画面に登場する人物は、ほぼアメリカ兵の二人だけ。一人は、ほとんど壁の向こうに倒れているので、まともにセリフがあるのはアイザックだけ。相手のスナイパーは、無線からの声だけです。
さらに、場面もほぼ壁のこっち側だけという、かなり限定的な状況の中で話が進みます。
これらを実験的とか、斬新とか褒めるかというと、これまでにもこういう映画はあるんですが、やはり映画としての面白みには欠けることは今更言うまでもありません。
映画としての自由を捨てると、それは舞台劇になってしまうわけで、そう思って見ればセリフ劇として面白い・・・かというとそうでもない。
ほとんど一方的に、アイザックは追い詰められているだけで、優劣の立場は最後まで逆転するわけでは無いので「心理戦」とは言えず、単に絶望にむかっていくだけという感じです。
90分という比較的短い上映時間なのですが、これ以上の長さではもたないということも言えるかもしれません。