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2020年10月25日日曜日

アイガー・サンクション (1975)

御歳90才になり、今やアメリカ映画界の重鎮であるクリント・イーストウッドの1975年、45年前の監督・主演映画です。

スイスにあるアイガーは、1800mある北面の岩の絶壁が多くの登山家を魅了してきました。現代登山技術の進歩で、今では最速2時間半を切ることが可能になりましたが、この映画の当時は、まだ2~3日かけて登り、多くの死者も出していた頃です。

公開当時は、企画の変遷もあり、撮影中のスタッフの事故死などのトラブルも多く、イーストウッドとしては興業的失敗作と言われました。確かに、中途半端なスパイ物、ジェームス・ボンドの二番煎じみたいなところがあることは否定しません。

しかし、山岳物としてみると、前半のアメリカでのトレーニング、後半のヨーロッパでの岩壁のクライミングとも、イーストウッドが自らスタント無しで挑み迫力はけっこうあります。

ヘリコプターによる遠景とアップのダイナミックな動きもなかなかすごい物ですし、困難を極めた撮影は、今どきのCGで作る嘘くさいスペクタクルを上回る物があります。

国の秘密組織で暗殺の任務についていたヘムロック(イーストウッド)は、引退して高額な絵画に囲まれて大学教授として悠々自適の生活をしていました。そこへ、組織のボスから、かつての同僚が殺され重要秘密を奪われたことの報復として、アイガー登山隊の中にいる犯人を暗殺しろという依頼が来ます。

ヘムロックはアイガ北壁を挑みますが、実はわざと偽情報を敵に流したもので、それが偽物と気がつかれないための暗殺計画でした。しかし、登山隊の誰が犯人かわからぬうちにヘムロック以外は落石・滑落で死亡し、最後に意外な真犯人を知ることになるのです。

B級アクション映画と割り切ってみれば、イーストウッド・ファンならずとも、それなりに楽しめる内容になっています。