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2020年10月30日金曜日

ルーキー (1990)

これは、クリント・イーストウッド、60才で主演・監督した映画。

西部劇、刑事物などのアクションが多い映画が多いイーストウッドも、さすがに初老と言える時期に入って変わり始めていました。

80年代後半になって、映画会社は相変わらず、興行収入の見込めるB級アクション映画を期待して、終わったはずの「ダーティ・ハリー」シリーズの第5作を作らせ、かなり無理のあるコメディ「ピンク・キャデラック」などを送り出させました。

しかし、映画作家としてジャズの巨人チャーリー・パーカーを描いた「バード」、ジョン・ヒューストン監督の狂った逸話をもとにした「」ホワイト・ハンター、ブラック・ハート」は映画としての評価はされても興行的にも満足いくものではありませんでした。

そこで、またもやB級刑事物に立ち戻った「ルーキー」の登場となるのですが、ある意味イーストウッドの分岐点の映画という言い方が成り立つかもしれません。つまり、初老の刑事が新米とともに犯人を追い詰める内容で、役の上でも年を取ったことを認める内容だということ。

とはいっても、イーストウッドがこれまでに演じてきた一定の枠内から逸脱した型破りな刑事の総集編みたいな感じ。ただし、イーストウッドの人柄については軽い描写にとどめ、むしろ新米刑事のシャーリー・シーンの生い立ち、家族などを比較的丁寧に描いて、彼の心の強い葛藤を克服するところにテーマの重点が置かれています。

なんで犯人の居場所がわかるのかとか、こんな無茶して問題だとか、いろいろと刑事物としてはいい加減なところが無いわけではありません。この辺りは、結局イーストウッドに抱いている皆の期待とかイメージが許してしまうところが得な所かもしれません。

イーストウッド映画としては、やや低評価であることは否めませんが、年齢を重ねて今までのようにはいかずもがいている時期の作品ということを確認しておきたいところです。