2022年2月26日土曜日

ペペロンチーノ


日本人の好きなパスタのランキングで、カルボナーラと東西横綱を争うのがペペロンチーノ。ペペロンチーノは「唐辛子」という意味で、料理名としては正式にはアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノです。ただ、もっと正確を期すならば、Spaghetti aglio, olio e peperoncino となります。意味は、ニンニク(aglio)とオイル(olio)と唐辛子のスパゲッティということ。

たっぷり入れるのでニンニク好きにはたまらん一品で、唐辛子の辛さが旨さ倍増というパスタ料理ですが、日高シェフによると本場イタリアではこういう調理はしないとのこと。確かに、そもそもこの組み合わせは多くのパスタ・ソースの基本の味で、ここからいろいろな素材を加えて味を作っていくもの。

ですから、このペペロンチーノはイタリアでは「絶望のパスタ」と呼ばれているらしい。つまり、他に何も入れる物がないような貧困にあえぐ、日々の生活に絶望している人が食べるということ。あえて日本で言えば、塩むすびというところでしょうか。

オリーブ・オイルにみじん切りのニンニクを入れます。火を付けたら弱火でじっくり。泡がでてきたらニンニクの味がオイルにしみてきます。絶対にニンニクを焦がしてはいけません。

ニンニくが狐色になってきたら輪切りの鷹の爪をお好みの量いれますが、焦げやすいので注意。そして最後にみじん切りのイタリアン・パセリを入れて、さっと熱を通してソースの出来上がりです。茹であがったパスタを入れてソースと和えたら完成ですが、必要に応じて塩を追加します。

ここでしばしば話題になるのがオイルの「乳化」という話。いわゆるオイル系パスタと呼ばれるレシピの場合、オイルに水分が加わり白濁した乳化によってソースがパスタにまとわりつきやすくなります。日高シェフはあえて説明していませんでしたが、和える時に少しだけ茹で汁を加えていました。またパスタについてくる水分もあるので、かき回して和えることが自然と乳化させることにつながっているようです。

いゃあ、これだけの材料で本当に美味しい。使ったのは、パスタ、水、塩、オリーブ・オイル、ニンニク、唐辛子、イタリアン・パセリだけ。まさに余計なものは入れる必要が無いということ。今までは、わざわざペペロンチーノ・ソースのレトルトを買ってましたけど、もうまったく無駄なことをしていたと後悔するしかありません。

これにアサリを入れればボンゴレ・ビアンコですし、トマト・ソースを入れればアラビアータ。好みに応じて、いろいろな素材を追加して楽しみ、絶望を希望に変えていこうではありませんか。