原作では「レッド・オクトーバーを追え」よりも前の話で、ライアンは海兵隊をケガのため除隊し、海兵学校で教鞭をとっていたころ。その後CIA分析官に就任するのですが、映画ではCIAを辞した後の話という設定のようです。
アイルランドのイギリスからの独立という話は、古くは17世紀にさかのぼる根が深い因縁があり、受験に特化した日本の世界史授業ではほとんど取り上げられることが無いので、自分はほとんど知らないと言っていい。
第二次世界大戦以降に、活発化したIRA(アイルランド共和国軍)は、70~90年代に過激化して多くのテロ事件が発生したことだけはニュースで見聞きしました。21世紀になって、イギリス政府との和平合意がなされ武装解除しましたが、いまだに一部にくすぶった火が残っているといわれています。
妻キャシー(アン・アーチャー)と娘サリーと共にロンドンに滞在していたジャック・ライアン(ハリソン・フォードは、偶然にIRA過激分子が王室のホームス卿の車を襲撃する現場に居合わせてしまいます。ライアンの活躍で犯人の一人ショーン・ミラー(ショーン・ビーン)は捕まり、ショーンの弟はライアンにより射殺されてしまいました。
警察内部の内通者の協力によりショーンは脱走し、復讐のためライアンを追ってアメリカに渡ります。すぐさま行動を起こす一味は、ライアンを襲いますが失敗。キャシーとサリーも高速道路でショーンに襲撃され重傷を負います。
ライアンはCIAに復帰し、彼らの動向を分析することにしました。アメリカのIRAのスポークスマンから得た情報で、一味が北アフリカの秘密基地にいることを突き止め、CIAは特殊部隊を派遣し急襲しますが、ショーンらには逃げられてしまいます。
ホームズ卿の命を救ったことで勲章を授与されることになったライアンは、サリーの退院祝いを兼ねて自宅にホームズ卿を招きましたが、その場をショーンたちが襲撃してきたのです。
おそらくアメリカにとっても、IRAは微妙な話題なのか、IRAそのものは悪者にせず、あくまでもIRAの流れをくむ過激派が、本来の目的を逸脱した個人的な復讐に走ると言う内容。多少都合が良すぎる展開もありますが、犯罪物としては良く出来ています。ただし、「レッド・オクトーバー」のような国家的な危機ではないので、こじんまりとした印象は否定できません。
前作でライアンを演じたアレックス・ボールドウィンは舞台のためにオファーを断り、今回は前作を断ったハリソン・フォードがライアンとして登場です。前作ではライアンよりもレッド・オクトーバー艦長が主役という感じでしたが、今回はライアンがまさに話の中心というところで、ハリソン心が動いたか? と勘ぐってしまいます。実際、前作ではハリソン・フォードは艦長役に興味を惹かれたようです。
監督のフィリップ・ノイスは、これと言って記憶に残る人ではないようですが、実際、この映画の時にはほぼ無名に近い存在です。正直、映画の作りとしては教科書的で、あまり面白みは感じません。脚本と出演者の演技に支えられた面白さというと可哀そうでしょうかね。