世間ではいろいろと勤務医が大変で、開業医は楽して儲けているみたいなことを言われます。
開業してみると、それはそれで楽なことなんてありませんよ。でも、勤務医と違って自分ががんばればがんばるだけ収入につながるわけですから、そこのところは開業医の一番のいいところかもしれません。
それでも、いきなり開業医をしている医者はいないわけで、開業医もみんなさんざん大学病院をはじめとする勤務医を経験しているわけです。
自分の場合も研修医の頃は1日おきに当直なんてことはざらにありましたし、徹夜で緊急手術をしても翌日は普通に勤務は当たり前。それでも、勉強のためですから当直料なんてものはつきません。開業しても、当直バイトをやめることはできず、経営者としての悩みも増える一方。
今の研修医には、今の時代の悩みはあるんでしょうが、医者という職業を選んだからには避けることはできないようなことだろうと思います。でも、確実に昔の研修医でよかった、今の研修医が大変と思うこともありますよ。
まず書類。とにかく今の時代、医療を行うために用意しなければならない書類の多さはきちがい沙汰です。これは医療に対する不信感が、その根底にあることですから、医者自身にも大きな責任があります。
とはいえ、医療の結果に100%は絶対にあり得ないわけで、かえって文章を残すことが医者の首をしめていくという部分もある。そのためにまた文章を用意するという悪循環。
アメリカなどでは、そういう事務的な仕事を専属でこなす「秘書」みたいな仕事が普通にあるのですが、日本ではすべて医者の仕事としてはねかえってきます。このあたりは、今の勤務医にとっては大変気の毒なところ。
また、その延長上の話ですが、医療行為の結果に警察が介入するというのも大変なことです。もちろん、医療の結果患者さんが亡くなることは「殺人」と同じと考える方もいるかもしれませんが、悪意を持って医療を行う医者はいませんし、医療を行わなければ患者さんにはそれなりの不利益が生じるでしょう。
まして、原則として医者は医療を求められれば拒否はできないわけですから、通常の刑事事件と同列に扱われれば何もできなくなってしまいます。
このあたりも、そういう事態に直面しやすいのは開業医よりも勤務医ですから、本当に大変なことだろうと思います。でも、これも元はと言えば医者が自ら蒔いた種なんですよね。
まあ、そんなに大きな話ではないにしても、一般の診療自体が今の研修医は大変でしょう。例えばレントゲン検査。自分が研修医で初めて外来をしたころは、患者さんの訴えを聞いて、身体の異常を診察したら、たいていはレントゲン検査。でもって、結果は・・・来週でよかったんです。
まだレントゲンフィルムの自動現像機が出回り始めた頃で、写真はすぐに見れなくて当たり前。わからない病気でも患者さんに説明するまでに1週間の猶予がありましたから、その間に勉強することができました。
今は・・・うちでも撮影したら電子処理で、診察室で見れるまでに長くても数分間です。そりゃ、今の自分にとってはすぐに説明できて便利でしょうがないのですが、研修医からすればすぐに答えをいわないといけないというのは、ものすごく大変なことでしょう。
ですから、知らないことやできないことを、知らない・できないとはっきり伝えることが本当に大事だということです。知っている振りやできる振りをすることは、一般の方からすれば「犯罪」に近いものだということなんですよね。
大きな病院の中で、そのブランド性がバックにあるからといって、いつの間にか何でもできるような錯覚に陥ることなく、自分の医者としての技量を客観的に見つめることが、患者さんからの信頼につながるということだと思います。
がんばれ、研修医。
年末年始休診のお知らせ
年内は12月28日(月)午前まで(午後は休診)です。
12月29日(火)~1月4日(月)は休診します。
2009年5月14日木曜日
Let's 医師会 5月
医師会というのは、医者の集まりで基本は会員である医者の便宜をはかる団体です。医者の収入に大きく影響する診療報酬は国が決めますから、当然国に対して何らかの影響力を持ちたいと思うわけです。
そこで医師連盟という政治団体があって、基本的には医師会員は連盟にも加入しているわけです。そして、医療事情に詳しくて、医者の状況を理解してくれる政治家を応援してきたわけですが、これは今までは当然政権与党の中にいる方ということになります。
特に影響力を持っていたのが、昭和の日本医師会長として有名な故武見太郎さん。ところが、その後はそんなに強い会長はいないとみえ、この何年かでどんどん医者は追い詰められました。
そんなわけで、例えば茨城県医師会はついに与党の応援はしないことを公表したりしています。都筑区の医師会でも、どこを応援すればいいだろうという議論がされたりします。
実際、今の与党側の候補予定者の方はあまり熱心ではないような印象で、野党側の方の方が精力的に動いているように思えます。
あまりに与党のいい加減さ、総理大臣のていたらくに、少しでも野党に期待するしかないと思っていたら、野党のトップにもスキャンダル。
しばらく、だめ与党に馴らされた国民は、「まぁいいか」という気分になってしまいます。どうせ、今の日本の政治の仕組みでは何も変わらないと思うように戦後作られてきました。
そしたら、今度は国会の中でいちゃいちゃしている先生がいらっしゃる。どうせ今の内閣は長くないので、数ヶ月なら我慢するか、ってんで役を引き受けたらしい。
ところが、総理大臣がしがみついていてなかなか解散総選挙にならないので、いよいよ我慢ができなくなってついつい悪い癖が出ちゃったんでしょうね。ある意味正直な方ですよね。
警察の人がパトカーのサイレン鳴らして信号を気にせずに飛ばしていったら、実は家族旅行だったなんてことはありえませんもんね。
急に入院して、健康上の理由で辞任というのも、しらじらしいの極みですけどね。ちょっと前まで温泉旅行して楽しんでこれるほど健康だったんでしょう。前に総理大臣していた人は、また「漢字が読めなくても偉くなれるからがんばれ」とか学生に言っているらしいですし、もうしっちゃかめっちゃかですよ。
まぁ、正直に言って自分は医師連盟としての政治的な部分には興味がありませんし、どうせ医師側の利益だけを守るというわけにはいかない。
患者側の安全・安心を心配してくれれば、必然的に医者もいろいろと仕事をしやすくなるんでしょうから、とにかく議員さんには医療という国民には必須のサービスにもっと興味を持ってもらいたいものだと思います。
そこで医師連盟という政治団体があって、基本的には医師会員は連盟にも加入しているわけです。そして、医療事情に詳しくて、医者の状況を理解してくれる政治家を応援してきたわけですが、これは今までは当然政権与党の中にいる方ということになります。
特に影響力を持っていたのが、昭和の日本医師会長として有名な故武見太郎さん。ところが、その後はそんなに強い会長はいないとみえ、この何年かでどんどん医者は追い詰められました。
そんなわけで、例えば茨城県医師会はついに与党の応援はしないことを公表したりしています。都筑区の医師会でも、どこを応援すればいいだろうという議論がされたりします。
実際、今の与党側の候補予定者の方はあまり熱心ではないような印象で、野党側の方の方が精力的に動いているように思えます。
あまりに与党のいい加減さ、総理大臣のていたらくに、少しでも野党に期待するしかないと思っていたら、野党のトップにもスキャンダル。
しばらく、だめ与党に馴らされた国民は、「まぁいいか」という気分になってしまいます。どうせ、今の日本の政治の仕組みでは何も変わらないと思うように戦後作られてきました。
そしたら、今度は国会の中でいちゃいちゃしている先生がいらっしゃる。どうせ今の内閣は長くないので、数ヶ月なら我慢するか、ってんで役を引き受けたらしい。
ところが、総理大臣がしがみついていてなかなか解散総選挙にならないので、いよいよ我慢ができなくなってついつい悪い癖が出ちゃったんでしょうね。ある意味正直な方ですよね。
警察の人がパトカーのサイレン鳴らして信号を気にせずに飛ばしていったら、実は家族旅行だったなんてことはありえませんもんね。
急に入院して、健康上の理由で辞任というのも、しらじらしいの極みですけどね。ちょっと前まで温泉旅行して楽しんでこれるほど健康だったんでしょう。前に総理大臣していた人は、また「漢字が読めなくても偉くなれるからがんばれ」とか学生に言っているらしいですし、もうしっちゃかめっちゃかですよ。
まぁ、正直に言って自分は医師連盟としての政治的な部分には興味がありませんし、どうせ医師側の利益だけを守るというわけにはいかない。
患者側の安全・安心を心配してくれれば、必然的に医者もいろいろと仕事をしやすくなるんでしょうから、とにかく議員さんには医療という国民には必須のサービスにもっと興味を持ってもらいたいものだと思います。
2009年5月13日水曜日
センター南医療ヴィレッジ運営会議
ちょっと、去年の夏以来だと思うので、ひさしぶりですが今夜はセンター南医療ヴィレッジの運営会議、というかつまり飲み会でした。
村長はセンター南こどもクリニック、そして村民はうちの他に、あざみ野棒屋先生、ルミエール眼科のアキコ先生、内科のただ先生。そして、村はずれのCMポートクリニックのDr.A。
今回は村長の要望によりスペシャルゲストとして、隣村のDr.Flickerも参加するというなかなか豪華メンバーなのです。
議題は、あいかわらずの共同の駐車場の利用方法についてや、近くに今度できるクリニックに関する情報交換、さらにみんなで区民祭りでバンドをやろうかというような提案もでたりと、もうアルコールが入って支離滅裂。
挙げ句の果てには、バスロータリーの清掃作業までやったらなどという話まで飛び出す始末です。近々ヴィレッジの村民が増えそうな話もあり、盛り上がりまくったわけです。
ちなみに、場所はあざみ野の「尾高」という和食の料理屋さん。インターネットの情報は少ないのですが、隠れ家的なお店としてけっこう有名なお店。
ちょっと話がはずんで、写真などをとる余裕がありませんでしたが、なかなか品のある食事が、ちょっと年を取ってきた者には大変合います。機会があれば、また利用したいと思うようなお店の一つでした。
村長はセンター南こどもクリニック、そして村民はうちの他に、あざみ野棒屋先生、ルミエール眼科のアキコ先生、内科のただ先生。そして、村はずれのCMポートクリニックのDr.A。
今回は村長の要望によりスペシャルゲストとして、隣村のDr.Flickerも参加するというなかなか豪華メンバーなのです。
議題は、あいかわらずの共同の駐車場の利用方法についてや、近くに今度できるクリニックに関する情報交換、さらにみんなで区民祭りでバンドをやろうかというような提案もでたりと、もうアルコールが入って支離滅裂。
挙げ句の果てには、バスロータリーの清掃作業までやったらなどという話まで飛び出す始末です。近々ヴィレッジの村民が増えそうな話もあり、盛り上がりまくったわけです。
ちなみに、場所はあざみ野の「尾高」という和食の料理屋さん。インターネットの情報は少ないのですが、隠れ家的なお店としてけっこう有名なお店。
ちょっと話がはずんで、写真などをとる余裕がありませんでしたが、なかなか品のある食事が、ちょっと年を取ってきた者には大変合います。機会があれば、また利用したいと思うようなお店の一つでした。
2009年5月12日火曜日
あすなろ菜園2009 part2
去年はきゅうりの苗をいただき、りっばなキュウリが山ほどできました。新鮮なキュウリがとげとげして握ると痛いというのを初めて知った次第です。
さてさて、今年もうみてんぐさんに野菜の苗をいただきまして、今回はピーマンです。
どのくらいの大きさまで育つんですかね。都筑区の陽を浴びて無農薬で育ったピーマンを食べれるのはいつのことになるのでしょうか。
ベランダ菜園というのも、なかなか楽しいもので、4階という高さがあるので、よけいな虫が来ることもほとんどありません。立派に育てよ!!
2009年5月11日月曜日
クリニックの経営による収入
前回のクリニックの支出に続く第2弾。とは言え、収入は実に簡単。
日本ではほとんどすべての医療機関が保健医療を行っていますから、その収入については厚労省が2年ごとに決めてくる医療の「定価」、つまり診療報酬点数というものに依存しているわけです。
ある患者さんが初めて医療機関を受診すると「初診料」がかかり、1ヶ月以内に同じ医療機関を受診すれば「再診料」がかかります。
別の病気でかかっても、1ヶ月以内であれば再診ですが、同じ病気であっても患者さんの意思で1ヶ月以上あけて受診した場合は初診の扱いとなります。
内科は一番多い症状は「腹痛」と「かぜ」で、たいてい何度も再診をするような病気は少ない。整形外科は老化現象による膝や腰の痛みの患者さんが多く、正直に言って根本的には治らない。
従って、症状が軽くなるまで再診することが多くなります。骨折などの場合は、だいたい治るまでの2ヶ月間くらいの間は1週間~2週間に1度くらいの再診してもらうわけです。
収入の大きい物はレントゲン検査。最初に機器を購入するのに、安い物で300万円くらい。うちのように透視ができるタイプだと600万円くらいかかりますが、メンテナンス費用は除いて基本的には検査をする度に追加の支出がありません。
自分の場合には、初診で必要と思えばもちろんレントゲン撮影はしますが、同じ症状で1年以内の再診・再初診ではたいてい撮りません。明らかに以前より悪化している場合には別です。例えば腰痛では、明らかに筋肉が原因と思える場合にはレントゲン検査をしない場合があります。
異常が無いと思うのに検査をすることは原則としておかしいのですが、開業してから気が付いたのは、患者さんは異常が無いという安心も欲しがっているということでした。ですから、自分が不要と思っても患者さんの希望があればレントゲン検査で、大きな異常がないということを確認することは悪いことではありません。
血液検査は検査会社へ検査の代金を払います。ギプスなどの処置では、ギプスを購入して用意しておかなければいけません。注射も薬剤や注射器、点滴の器具などを購入しておかなければならない。つまり必ず支出を伴う物であるということを忘れてはいけません。
手術はあくまでも局所麻酔で正味10分間程度で終わるようなものに限って行います。本来、手術室と呼べるような設備で行うことが望ましいわけですが、このような簡単なものはいちいち大きな病院に依頼しても、なかなからちがあかないことが多い。
本来は外科系の医者にとっては、最も持てる技術を出せるところなので、一律の値段が決まっているというのは納得できないところもあります。うまい医者がやっても、へたな医者がやっても値段は同じ。もっとも、クリニックレベルでは、そんなことを言ってもしょうがありませんが。
いずれにしても、手術というのはリスクも伴うことですから、がんばれば収益としては悪くはありませんが、小さなクリニックではあまり拡大することはできません。
保険診療とは別に、いわゆる自費診療というのがあります。保険なら患者さんはかかった医療費の1割~3割を負担すればいいわけですが、自費診療ではすべてが患者さんの負担になります。自信のある医者なら、すべての医療行為を自費診療にして、値段は言い値にしてもかまわない。
これは、まさにブラックジャックの世界になってしまうわけですが、腱鞘炎を治すから100万円と言っても誰も受診しないでしょうから現実的ではありません。
ただし、保険医療はいま出ている病気に対して行う物というきまりですから、予防的な治療には保険を使うことができません。予防接種のようなものは自費になります。インフルエンザの予防接種をうちでは毎年秋に行ってきましたが、毎年2000円という最低ランクの値段でやってますので、ほとんど儲けはありません。
ガンのような病気では、よく自費診療で保険の認められていない治療を行う医療機関がありますが、保険で認められていないということは、最新の知見に基づくものだとしても効果・安全性の上でスタンダードとは言えないものが大多数だということは忘れてはいけません。
まぁ、整形外科診療所では自費診療でできるようなことはほとんどありませんので、あまりこのあたりに期待してもしょうがない。けっきょく、地道に一人一人の患者さんを治療していくしかありません。小さな信頼の積み重ねでリピータを作っていけるように努力していくしかないんです。
日本ではほとんどすべての医療機関が保健医療を行っていますから、その収入については厚労省が2年ごとに決めてくる医療の「定価」、つまり診療報酬点数というものに依存しているわけです。
ある患者さんが初めて医療機関を受診すると「初診料」がかかり、1ヶ月以内に同じ医療機関を受診すれば「再診料」がかかります。
別の病気でかかっても、1ヶ月以内であれば再診ですが、同じ病気であっても患者さんの意思で1ヶ月以上あけて受診した場合は初診の扱いとなります。
内科は一番多い症状は「腹痛」と「かぜ」で、たいてい何度も再診をするような病気は少ない。整形外科は老化現象による膝や腰の痛みの患者さんが多く、正直に言って根本的には治らない。
従って、症状が軽くなるまで再診することが多くなります。骨折などの場合は、だいたい治るまでの2ヶ月間くらいの間は1週間~2週間に1度くらいの再診してもらうわけです。
収入の大きい物はレントゲン検査。最初に機器を購入するのに、安い物で300万円くらい。うちのように透視ができるタイプだと600万円くらいかかりますが、メンテナンス費用は除いて基本的には検査をする度に追加の支出がありません。
自分の場合には、初診で必要と思えばもちろんレントゲン撮影はしますが、同じ症状で1年以内の再診・再初診ではたいてい撮りません。明らかに以前より悪化している場合には別です。例えば腰痛では、明らかに筋肉が原因と思える場合にはレントゲン検査をしない場合があります。
異常が無いと思うのに検査をすることは原則としておかしいのですが、開業してから気が付いたのは、患者さんは異常が無いという安心も欲しがっているということでした。ですから、自分が不要と思っても患者さんの希望があればレントゲン検査で、大きな異常がないということを確認することは悪いことではありません。
血液検査は検査会社へ検査の代金を払います。ギプスなどの処置では、ギプスを購入して用意しておかなければいけません。注射も薬剤や注射器、点滴の器具などを購入しておかなければならない。つまり必ず支出を伴う物であるということを忘れてはいけません。
手術はあくまでも局所麻酔で正味10分間程度で終わるようなものに限って行います。本来、手術室と呼べるような設備で行うことが望ましいわけですが、このような簡単なものはいちいち大きな病院に依頼しても、なかなからちがあかないことが多い。
本来は外科系の医者にとっては、最も持てる技術を出せるところなので、一律の値段が決まっているというのは納得できないところもあります。うまい医者がやっても、へたな医者がやっても値段は同じ。もっとも、クリニックレベルでは、そんなことを言ってもしょうがありませんが。
いずれにしても、手術というのはリスクも伴うことですから、がんばれば収益としては悪くはありませんが、小さなクリニックではあまり拡大することはできません。
保険診療とは別に、いわゆる自費診療というのがあります。保険なら患者さんはかかった医療費の1割~3割を負担すればいいわけですが、自費診療ではすべてが患者さんの負担になります。自信のある医者なら、すべての医療行為を自費診療にして、値段は言い値にしてもかまわない。
これは、まさにブラックジャックの世界になってしまうわけですが、腱鞘炎を治すから100万円と言っても誰も受診しないでしょうから現実的ではありません。
ただし、保険医療はいま出ている病気に対して行う物というきまりですから、予防的な治療には保険を使うことができません。予防接種のようなものは自費になります。インフルエンザの予防接種をうちでは毎年秋に行ってきましたが、毎年2000円という最低ランクの値段でやってますので、ほとんど儲けはありません。
ガンのような病気では、よく自費診療で保険の認められていない治療を行う医療機関がありますが、保険で認められていないということは、最新の知見に基づくものだとしても効果・安全性の上でスタンダードとは言えないものが大多数だということは忘れてはいけません。
まぁ、整形外科診療所では自費診療でできるようなことはほとんどありませんので、あまりこのあたりに期待してもしょうがない。けっきょく、地道に一人一人の患者さんを治療していくしかありません。小さな信頼の積み重ねでリピータを作っていけるように努力していくしかないんです。
2009年5月10日日曜日
父が働く日
日本には、年に一度「父の働く日」というのがあります。もちろん父はいつも働いているわけですが、ここで働くというのは自分の家の中のことについてということです。
なかなか、いい習慣ですが、最近はけっこう奥様も働いている過程が多く、うちもその例にもれません。ですから、父だけが家のことで働くということには、若干の疑問を持つ部分はあるのですが、まぁ細かいことは言いますまい。
仕事は休みですが、いつもと同じく6時に起床。食卓を片付けて、サッカーの部活にいく次男にそ即席朝ご飯を用意し、しばし好きな音楽を聴きながら朝のコーヒーをすする。
それから、洗濯機を回し干した後は、庭のゴミなどを片付け。ブランチの用意。昼からは、夕食用に用意しておいたローストビーフ作り。
いろいろな作り方がありますが、大事なことはゆっくり中央まで火が通っていること。今回はけっこううまくできています。今回は肉を数日前からコショウと少なめの塩をふってワインにつけておきました。フライパンで表面が軽く焦げる程度にやきます。数分かけてだいたい全面に焦げ目がついたら、オーブンにいれて100度で40分。この低めの温度がポイント。
ローストチキンの時は、オーブンでしっかり火を通して表面がぱりっとなるのが大事なので200度以上の高温にします。ビーフはしわーっと、ゆっくり熱が中まで届くことが大事なんですよね。
そんなわけで夕食はメインのローストビーフとワインで、「お母さんいつもご苦労様でした」ということになるわけです。
2009年5月9日土曜日
母の日イブ
2009年5月8日金曜日
クリニックの経営にかかる費用
今日は朝から雷鳴が轟き、どばーっと雨が降ったかと思うと、昼からは晴れたり降ったり、めまぐるしい天気の一日でした。湿気も相当な物で、気温の割にはむしむしとした一日たったと思います。
こんな日には、整形外科のクリニックの患者さんは、ぐっと減ります(うちだけ?)。まぁ、それもしょうがない。あわてても精神衛生上いいことはありませんから、こんな時には診断書を書いたり、いろいろな郵便物の整理。
さすがに、多少はそのくらいの気持ちの余裕は持てるようになりました。とは言え、うちみたいなコンパクトなクリニックでも維持していくためにはそれなりのお金がかかりますから、経営的には楽ではありません。
まず大きいのが家賃です。いわゆるビル診療ですから、うちの場合月に100万円程度の家賃がかかっています。整形外科クリニックはリハビリ室が必要なため、かなりの面積を使用しているのです。内科だったら30坪くらいでも大丈夫ですが、整形外科は倍くらいの広さが必要。
次に大きいのが人件費。医療では人件費の割合が高いと言われていますが、うちでは全員パートなのでかなり少ない方でしょうが、それでも受付3人、看護師2人、リハビリ助手2人、理学療法士3人が働いてくれています。
少数精鋭と言えば聞こえがいいのですが、かなりぎりぎりの人数だと思います。この中に看護師で家内がいるので助かっていますが、それでも月の人件費は60~70万円くらいになります。
さらに使わないとどうにもならないのが薬品や衛生材料の購入費。リウマチ治療薬の高価な薬が含まれるので、これはおそらく普通の整形外科より多くて、毎月100万円程度になっています。
開業したときに用意した治療器具のリース代金、電子カルテの使用料金、レントゲン機器のメンテナンス代金などに毎月かかるのは20万円くらい。血液検査は外注ですので、これにも毎月10万円近くかかります。これはリウマチ専門ですからしかたがない。そしてその他の雑貨などで毎月数万円は使ってしまいます。
最後に大きいのは、借金の返済で、毎月100万円を返しているのです。当然元手をしっかり準備してから開業すれば、このあたりはいらないわけですが、いかんせん自己資金ゼロで開業したようなものなので、こればっかりはしょうがない。
逆に言うと、これ以上返すようなら開業の計画としてはあまりに無謀と言うことなんでしょうかね。まぁ、うちの場合も十分に無謀だったわけですが。そんなわけで、これを全部足すと、毎月400万円近くかかっているということになります。
これ以外に、駅の看板代が50万円、雑誌などの広告費が50万円、固定資産税が40万円というのがだいたいの年間の固定した出費でしょうか。
ついこの前のようにレントゲンが壊れて修理代が30万円とか、パソコンが駄目になって新規購入で20万円などの、臨時出費が急に出てくることも考えておかないといけません。
さぁ、新規に開業しようという先生、だいたいわかりましたか。こういうことはなかなかマニュアルはありませんし、開業コンサルタントは収入の予想はしてくれても、支出の具体的な数字はなかなかあげてくれないものです。
収入と支出の帳尻が合うためには、整形外科の患者単価2500円として計算すると400万円÷2500円=1600人/月の患者さんが来ないといけません。月の平均診療実日数を23日とすると、毎日おおよそ70人の患者さんが来るというのが、最低目標ということになります。
うちの場合はまだ1日の平均患者数は60人くらいですが、比較的患者単価の高いリウマチ患者さんのおかげて何とかもっているようなものなのです。ですから、当直のバイトをやめるわけにはいかない。平均月に6回くらいの当直をしているので、ここから生活費が出ているというわけなのでした。
開業するかしないかは、それぞれの自由ですが、このあたりをじっくり考えてみることが本当に大切ですよ。
こんな日には、整形外科のクリニックの患者さんは、ぐっと減ります(うちだけ?)。まぁ、それもしょうがない。あわてても精神衛生上いいことはありませんから、こんな時には診断書を書いたり、いろいろな郵便物の整理。
さすがに、多少はそのくらいの気持ちの余裕は持てるようになりました。とは言え、うちみたいなコンパクトなクリニックでも維持していくためにはそれなりのお金がかかりますから、経営的には楽ではありません。
まず大きいのが家賃です。いわゆるビル診療ですから、うちの場合月に100万円程度の家賃がかかっています。整形外科クリニックはリハビリ室が必要なため、かなりの面積を使用しているのです。内科だったら30坪くらいでも大丈夫ですが、整形外科は倍くらいの広さが必要。
次に大きいのが人件費。医療では人件費の割合が高いと言われていますが、うちでは全員パートなのでかなり少ない方でしょうが、それでも受付3人、看護師2人、リハビリ助手2人、理学療法士3人が働いてくれています。
少数精鋭と言えば聞こえがいいのですが、かなりぎりぎりの人数だと思います。この中に看護師で家内がいるので助かっていますが、それでも月の人件費は60~70万円くらいになります。
さらに使わないとどうにもならないのが薬品や衛生材料の購入費。リウマチ治療薬の高価な薬が含まれるので、これはおそらく普通の整形外科より多くて、毎月100万円程度になっています。
開業したときに用意した治療器具のリース代金、電子カルテの使用料金、レントゲン機器のメンテナンス代金などに毎月かかるのは20万円くらい。血液検査は外注ですので、これにも毎月10万円近くかかります。これはリウマチ専門ですからしかたがない。そしてその他の雑貨などで毎月数万円は使ってしまいます。
最後に大きいのは、借金の返済で、毎月100万円を返しているのです。当然元手をしっかり準備してから開業すれば、このあたりはいらないわけですが、いかんせん自己資金ゼロで開業したようなものなので、こればっかりはしょうがない。
逆に言うと、これ以上返すようなら開業の計画としてはあまりに無謀と言うことなんでしょうかね。まぁ、うちの場合も十分に無謀だったわけですが。そんなわけで、これを全部足すと、毎月400万円近くかかっているということになります。
これ以外に、駅の看板代が50万円、雑誌などの広告費が50万円、固定資産税が40万円というのがだいたいの年間の固定した出費でしょうか。
ついこの前のようにレントゲンが壊れて修理代が30万円とか、パソコンが駄目になって新規購入で20万円などの、臨時出費が急に出てくることも考えておかないといけません。
さぁ、新規に開業しようという先生、だいたいわかりましたか。こういうことはなかなかマニュアルはありませんし、開業コンサルタントは収入の予想はしてくれても、支出の具体的な数字はなかなかあげてくれないものです。
収入と支出の帳尻が合うためには、整形外科の患者単価2500円として計算すると400万円÷2500円=1600人/月の患者さんが来ないといけません。月の平均診療実日数を23日とすると、毎日おおよそ70人の患者さんが来るというのが、最低目標ということになります。
うちの場合はまだ1日の平均患者数は60人くらいですが、比較的患者単価の高いリウマチ患者さんのおかげて何とかもっているようなものなのです。ですから、当直のバイトをやめるわけにはいかない。平均月に6回くらいの当直をしているので、ここから生活費が出ているというわけなのでした。
開業するかしないかは、それぞれの自由ですが、このあたりをじっくり考えてみることが本当に大切ですよ。
2009年5月7日木曜日
きったぁぁぁ~ !!
2009年5月6日水曜日
オーブンでハンバーグ
とにかく、朝一でスーパーへ行く。おーっ、合い挽きが100グラム98円で1kg単位で売っている。しかも、しかも、半額となっているではないか。これを買わずして何を買うというのか。と、いうことはメニューはこれしかない。これというのは、ハンバーグ。
2kgの合い挽きを買って帰り、さっそく仕込み。タマネギは別に炒めておいてから混ぜる。ナツメグは少なめにして、オールスパイスを多めに使うのが我が家流。
今回は安売りの肉なので、ちょっと質に不安があったので、ここで秘密兵器登場。
スーパーの肉売り場にはたいてい置いてあるやつで、しかもただ。牛脂ですよ、奥様。本当かどうか知りませんが、一応和牛牛脂とかいてあります。これを2kgの合い挽きに対して10個くらいを入れて、一緒に混ぜ込んでいきます。
本当は、炭火で焼きたかったところですが、今日は雨ですから、外に出るわけにもいきません。炭火で焼くと、表面が早めに焦げて、中に肉汁がたっぷり残るので、ものすごい旨さなのです。
そこで、今日はオーブンで焼きました。最初にキャンプ道具のバーナーで表面をざっと焼いておいて、220度で20分。ロードレストランのハンバーグの倍くらいの厚さがありますが、しっかり中まで火が通っています。
バカっと割ってみると・・・う~ん、「まぁまぁ」ジュ~シ~(写真ピンボケでスミマセン)。
フライパンで焼くと、半分の厚さでもしつかり焼いている内に肉汁は全部出ちゃいますもんね。
休日の患者さんの動き
人間の、それも日本人の行動をあれやこれやと観察し推察してみる、いわゆるマンウォッチング。
最近のお笑いの中でも、一つのジャンルを形成していますが、どうしても揚げ足取りになりやすい。他人の失敗などの笑って馬鹿にするみたいな感じがするので、一つならともかも連続で、それだけで時間を潰されるとどうかなぁ、と思うこともしばしば。
まぁ、それはそれとして、医者をやっていると患者さんの行動心理というものも考えられないといけないことが多々あります。
普段の診療でも、短い時間の中でこの患者さんにはこういう接し方をしようと無意識のうちに判断しているわけです。特に整形外科の患者さんは赤ちゃん、こども、若者、中年、お年寄りと世代は様々。自分のスタイルを柔軟にできないと勤まりません。
年末・年始のような休みがつづく期間には患者さんがどう動くかを考えます。たいていは年末ぎりぎりまでは受診する人が多く、なんとか年内に安心しておきたいという気持ちがはたらくことが想像できます。
ですから、先輩開業医からは年末はぎりぎりまで診療するな、と言われました。というのは、とんでもない重症の患者さんが着たりしても転送する病院が無いからというのが理由。
実際、うちのクリニックは、先輩の助言に反して、けっこうぎりぎりまでやっているのですが、重症で困ったことはありませんが、他が休みなのでえらく遠くから来る方が多く、紹介状などを書いていると時間がけっこうかかるということはあります。
ところが、年が明けると患者さんはぱったり。元旦や二日くらいはほとんど受診する方はいない。そして、そろそろがまんの限界か、三日くらいになると急に増え出すのです。
今年のゴールデンウィークはどうだったでしょうか。最大で16連休なんていう方もいたようですが、ほとんどの医療機関はたいていカレンダー通りの休診。
当直バイトをしてみると、5月4日までは暇でした。まずは遊ぼうという意識が働くのか、実際出かけていて人がいないのか。ところが5月5日ともなるとUターンの始まりとともに、けっこう外来受診が増えます。
とはいえ、新型インフルエンザの心配もあってか比較的おとなしい。そういえば、東京で発熱患者の診療拒否というニュースがありましたが、正直に言うと医者としては責められないと思いました。
国内で確認患者がいないからといって、大丈夫という保証はありません。簡易検査も発症して最初の24時間でのほとんど検出できません。実際、東京都は感染疑いの届け出でを意図的にしていないということが報道されていますから、なおさら病院としても対応しにくいだろうと思います。
まぁ、正月やGWは最初から決まっている休みですから、あまり考えてもしょうがないのですが、お盆の頃というのが問題。つまり、自分の判断でクリニックの夏休みをいつにするか決めないといけません。休まなければ話は簡単なんですが、なかなかそうもいきません。
首都圏はお盆の時に人口が減って患者さんも減りますので、開けていてもしょうがないと考えるか、あるいは、他が休んでいるときこそ患者さんをあつめられると考えるか。今年は8月15日は土曜日。まぁ、どう考えても8月16日の日曜日までにみんな帰ってくるんでしょうから、8月17日からは開いていないといけません。
最近のお笑いの中でも、一つのジャンルを形成していますが、どうしても揚げ足取りになりやすい。他人の失敗などの笑って馬鹿にするみたいな感じがするので、一つならともかも連続で、それだけで時間を潰されるとどうかなぁ、と思うこともしばしば。
まぁ、それはそれとして、医者をやっていると患者さんの行動心理というものも考えられないといけないことが多々あります。
普段の診療でも、短い時間の中でこの患者さんにはこういう接し方をしようと無意識のうちに判断しているわけです。特に整形外科の患者さんは赤ちゃん、こども、若者、中年、お年寄りと世代は様々。自分のスタイルを柔軟にできないと勤まりません。
年末・年始のような休みがつづく期間には患者さんがどう動くかを考えます。たいていは年末ぎりぎりまでは受診する人が多く、なんとか年内に安心しておきたいという気持ちがはたらくことが想像できます。
ですから、先輩開業医からは年末はぎりぎりまで診療するな、と言われました。というのは、とんでもない重症の患者さんが着たりしても転送する病院が無いからというのが理由。
実際、うちのクリニックは、先輩の助言に反して、けっこうぎりぎりまでやっているのですが、重症で困ったことはありませんが、他が休みなのでえらく遠くから来る方が多く、紹介状などを書いていると時間がけっこうかかるということはあります。
ところが、年が明けると患者さんはぱったり。元旦や二日くらいはほとんど受診する方はいない。そして、そろそろがまんの限界か、三日くらいになると急に増え出すのです。
今年のゴールデンウィークはどうだったでしょうか。最大で16連休なんていう方もいたようですが、ほとんどの医療機関はたいていカレンダー通りの休診。
当直バイトをしてみると、5月4日までは暇でした。まずは遊ぼうという意識が働くのか、実際出かけていて人がいないのか。ところが5月5日ともなるとUターンの始まりとともに、けっこう外来受診が増えます。
とはいえ、新型インフルエンザの心配もあってか比較的おとなしい。そういえば、東京で発熱患者の診療拒否というニュースがありましたが、正直に言うと医者としては責められないと思いました。
国内で確認患者がいないからといって、大丈夫という保証はありません。簡易検査も発症して最初の24時間でのほとんど検出できません。実際、東京都は感染疑いの届け出でを意図的にしていないということが報道されていますから、なおさら病院としても対応しにくいだろうと思います。
まぁ、正月やGWは最初から決まっている休みですから、あまり考えてもしょうがないのですが、お盆の頃というのが問題。つまり、自分の判断でクリニックの夏休みをいつにするか決めないといけません。休まなければ話は簡単なんですが、なかなかそうもいきません。
首都圏はお盆の時に人口が減って患者さんも減りますので、開けていてもしょうがないと考えるか、あるいは、他が休んでいるときこそ患者さんをあつめられると考えるか。今年は8月15日は土曜日。まぁ、どう考えても8月16日の日曜日までにみんな帰ってくるんでしょうから、8月17日からは開いていないといけません。
江田 とり鉄
2009年5月5日火曜日
Petrushansky / Shostakovich Piano Works
ゴールデンウィーク・スペシャルで、やたらとマニアックなクラシック・ピアノ全集紹介特集をしている「あすなろの木の下で」です。と言うか、ずっと某所にこもっている関係で、まったく新ネタがないもんでスミマセン。さて、ちょっとピアノの歴史の復習、自分用のメモみたいなものですがお付き合いください。
バロック期にはヴィバルディ、ヘンデルは華やかな管弦楽曲や宗教曲がほとんどでしたが、J.S.バッハは多くの鍵盤曲を遺しました。当時は鍵盤楽器といえば当然弦をひっかくチェンバロか、空気を送って鳴らすオルガンということになります。
18世紀後半、古典派の時代には弦を叩く仕組みが出てきて、音の強弱をつけることができるようになりフォルテ・ピアノ(強弱)という名前で呼ばれるようになりました。
ハイドンはチェンバロ用とフォルテピアノ用のソナタを多数のこしました。モーツァルトになると、最初はチェンバロ主流だったようですが、しだいにフォルテピアノにはまっていきます。
ベートーヴェンは最初は61鍵のものを使用していましが、しだいに68鍵、73鍵と増えていき、それに伴って作曲の音域が広がり音の分離も良くなっていき曲の壮大さが増していきます。シューベルトもこれらの機能拡大により、すぐれた曲を遺しました。
そして19世紀になりロマン派の時代になると、現在のピアノの形がほぼ完成します。そして登場してくるのがショパン、シューマン、リストです。ショパンはピアノの持てる表現力を完成させ、シューマンは芸術性、そしてリストは技巧力を突き詰めることになりました。
その後の作曲家はピアノの利用を抜きでは考えられないような状況になりました。また、19世紀なかばからは音楽そのものがヨーロッパの各地域で独自の発展をとげるようになっていくわけです。
と、無理矢理話を一度おさめておいて、話はいきなりショスタコーヴィチに移ります。
ショスタコーヴィチは20世紀のロシアの作曲家であり、戦争や生死などの重いテーマの交響曲と弦楽四重奏曲において多大な功績をのこしたと言われています。しかし、もともとピアニストであり第1回のショパン国際コンクールにも出場しているのです。
実際彼のデヴューは自身の1926年のピアノソナタ第1番であり、ここでは現代音楽らしいなんとも難解な音があふれているのです。しかし1933年にショパンにインスパイアされた「24の前奏曲」を発表。ここでは現代風の味もあるものの、調性音楽の枠組みにあり評価も高い。
しかし1943年のピアノソナタ第2番の不評で、ピアノ曲の分野についての自信を失ったようです。そして1950年に第1回国際バッハコンクールの審査員になり、優勝したタチアナ・ニコラーエワの演奏にふれたことで、ふたたびピアノ曲の作曲に意欲を持ちます。
バッハの「平均律クラーヴィア曲集」にならって、全ての調性を含む壮大な曲集として完成した「24の前奏曲とフーガ」は1952年にニコラーエワによって全曲初演されました。
ショスタコーヴィチがいなければ、交響曲と弦楽四重奏曲の歴史は途絶えていたと言われますが、無調性の現代曲は作曲者・演奏者の自己満足でありまったく楽しめない自分にとっては、ピアノ曲についてもショスタコーヴィチによって20世紀に生き延びたと思えるわけです。
ニコラーエワの演奏が決定版であることは間違いなく、これを聴かずしてどうするという感じではありますが、残念ながらニコラーエワはショスタコーヴィチのピアノ曲全体を網羅していません。アシュケナージもアルバムを出していますが、取り上げているのはごくわずか。
全てのピアノ独奏曲を聴くことができるのは現在ほとんど唯一と言えるのが、ペトルシャンスキーの独奏曲全集です。ペトルシャンスキーは20世紀のロシアピアノ曲のスペシャリストとして有名で、ここでも実に堅実に、情緒に流されすぎない演奏を聴かせてくれています。ただ、音のカタログとしてはいいのですが、内容的にはなんか物足りない感じがします。
う~ん、やはりニコラーエワで全集を聴きたかったですね。
Nina Kavtaradze / Wagner Piano Works
どうせ、マニアックな話ですから、もう一つ、ついでに「げげっ、こんなんあんですか!?」という奴を紹介しちゃうましょう。何って、これワグナーのピアノ曲集。けっこう珍しいでしょう。まぁ、普通のクラシックファンの方にはあまり縁がないものです。
ワグナーといえば19世紀の真っ只中にオペラの達人として活躍した作曲家。他にも交響曲や一般の管弦楽曲とかも作ったようですが、そのほとんどが断片、書きかけ、消失とされていて、本当に作ったんだかどうだかよくわからない。
とりあえず反ユダヤの思想の持ち主だったり、社会主義に傾倒して追放されたりと、まぁ芸術家としては変わり種の経歴が面白い。
その一方でピアノの鉄人、リストの娘コジマと不倫関係にあったりと、けっこう私生活はいい加減。性格は利己的で、めちゃくちゃな話は後を絶ちません。まぁ、人間らしいと言えばそれまでですけどね。亡くなった後は、ヒットラーに利用されたことも有名です。
そこで、映画です。イタリアのネオリアリズムの巨匠の一人、ルキノ・ヴィスコンティ監督の作品にゲルマン三部作と呼ばれるものがあります。トーマス・マンの「ベニスに死す」ではマーラーに模した主人公を登場させ、交響曲5番第4楽章をものの見事に使い込んでいます。「地獄に堕ちた勇者ども」ではナチスの退廃を描きました。
そして、最も長大な「ルードヴィヒ」はワグナーのパトロンとして、芸術の中に狂気を増していき自滅していったバイエルンの若き国王ルードヴィヒ2世がテーマとなりました。この中でも、ワグナーの無茶ぶりは、けっこう描かれていました。
そして映画の中で、始まってすぐの衝撃的な真っ赤なタイトルバックに重なって流れるのが、ワグナーのピアノ曲だったのです。不倫の末結婚したコジマに捧げられたエレジーで、最後の作曲とされています。ヴィスコンティの映画には不可欠な音楽監督であったフランコ・マンニーノが自ら弾いていました。
ゆったりと悲しみの和音がつづられる大変印象的な曲でした。そんなわけで、たまたま他にもピアノ曲があることを知って、是非聴いてみたくなり探していて見つけたのがこのCDというわけです。
それにしても、この演奏者のおばさま・・・いゃ、失礼・・・迫力ありますね。名前は何て発音するんですか、よくわかりません。ニーナはいいとして、カフタラーゼですかね。
音楽は全体にロマン派の流れを汲んでいるものの、まぁそれほどバカテクが必要そうなものはありません。ムード一発という感じ。あまり重苦しくなく、むしろ映画に使われたエレジーだけが異色の存在かもしれません。
まぁ、少なくとも後世に残る作曲家の作品ですから、こんなのもあっていいんじゃないの、ということでした。
登録:
投稿 (Atom)


