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2011年11月26日土曜日

Schiff + Perenyi + Shiokawa / Schubert String Trios

ピアノ三重奏曲の楽しみは、三人の演奏者の息のあった調和の取れたアンサンブルと考えるならば常設トリオに対抗することは難しい。

しかし、それぞれの個性がぶつかり合うところと考えるならば、意外と気心の知れた名だたる独奏者が集まったスーパートリオの方が面白い。

ただし、ぶつかり合うと言っても、さすがに3人くらいまでにしておかないと、あまり大人数のセッションではわけがわからなくなってしまいます。

多くの作曲家がピアノ三重奏を作曲しているのですが、シューベルトのものもたいていのトリオのレパートリーに入ってくる重要な作品。もちろんお気に入りのHaydn Trio EisenstadtやFlorestan Trioのものも素晴らしい。

もちろん、シューベルトにはピアノ五重奏曲で「鱒」という超有名曲があるのですが、やはりトリオとクインテットはまったくの別物と言えるようです。こちらは、どちらかというと室内楽版ピアノ協奏曲とイメージでしょぅか。

そこで、今回はあえて臨時のトリオ作品をお奨めしたいと思います。アンドラーシュ・シフは言わずと知れたピアニスト。ケンプと並んで、シフのシューベルトのピアノ・ソナタ全集は大変に有名です。

塩川悠子は、もちろん日本人。世界で通用する日本人バイオリニストの数少ない一人ですが、実はシフの奥様。チェロのペレーニはハンガリー出身で、シフと同郷の先輩。最近はベートーヴェンのソナタをシフと録音していたりします。

ですから、常設トリオではないものの、この3人がそろうのはたまたまではなく、常設に近いくらいの緊密な連携が随所に満ちています。それぞれが、互いを尊重して、立てるところは立て、そして場面によってはするどく挑発しあうところはなかなか聴き応えがあります。

たいていのCDでは、トリオの第1番と第2番とノットゥルノと断片の1楽章という組み合わせで2枚組みという構成ですが、このCDの面白いのはアルペジオーネ・ソナタが入っているところ。

アルペジオーネは6弦のチェロみたいな楽器で、現存するアルペジオーネのための曲はこのシューベルとのものだけ。シューベルトの室内楽曲の中でも、美しい主旋律は一二を争うもので重要な作品です。これが入っていることで、なんか得した気分です。