2010年6月13日日曜日

Jeff Beck / Emotion & Commotion

50年代ならチャック・ベリー、60年代ならベンチャーズがギター小僧のアイドルだったはず。少なくとも70年代のロック小僧にとっては、ロックギターの神様と呼べる人が3人いたわけです。

イギリスのサイケなのかブルースなのか中途半端なバンドだったヤードバースに参加していたギタリストで、初代のエリック・クラプトン、二代目のジェフ・ベック、そして最後にちょこっと参加していたジミー・ペイジ。

クラプトンはブルース調が強かったのが、ドラッグ中毒から復帰してからは歌うことを覚えて、かなりポップに成功しました。ジミー・ペイジはレッド・ツェッペリンの大成功でハード・ロック界の頂点に立ちましたが、まぁ最近のことは知らないことにしておきましょう。

でもって、肝腎なのはジェフ・ベックです。この人は、最初の頃から無口で気難しそうなキャラ全開のまま今に至っている、超マイペース人間なのです。

ヤードバーズ脱退後はロッド・スチュワートをボーカルに立てて最初のバンドを結成。どちらかというと英国版ブルースバンドという感じでしたが、2年くらいで嫌気が差した。

続いて、黒人を多用して新しいグループを結成。これはかなりブラックなのりで、自分としてはけっこう好きなんです。ドラムにはまるで弟みたいなコージー・パウエルがいました。ところが、これも2年でやめちゃう。

それからカクタス出身のカーマイン・アピスとティム・ボガードとギター・トリオを結成、BB&Aとして初来日をはたしました。そりゃもう史上最強のギターバンドだったんじゃないでしょうか。ところがこれも2年くらいで仲間割れ解散。幻の2作目は現在ネットに流出したので聞くことができますが、まあ確かにたいしたものじゃない。

ジェフ・ベックは2年で飽きるというのが定説になって、もうジェフは引退でも考えているんじゃないかと巷で噂が出始めたときに突然出てきたのがBlow by Blowというボーカル無しのギター・アルバムでした。これは現在に至るも、ギター小僧のバイブル、永遠の金字塔と言っても過言ではありません。

その後はひたすら孤高の世界を好きなときに好きなだけ進み続けたジェフ・ベックですが、今年久しぶりにスタジオ・アルバムが発売されました。最近打ち込みサウンドに突っ走りまくって、なんか音楽がとげとげしくなっていた感があったのですが、今回はだいぶ変わった感じ。

ついに還暦を過ぎて丸みがでてきたのでしょうか、オーケストラを使ったり、ギターの音も昔の得意だった泣きに近いフィーリングです。昔からのファンにとっては、なかなか悪くないアルバムに仕上がっています。