ぱっと聴いたときに、メロディがわかりやすい曲というのは親しみやすいですよね。クラシックではバロック、古典というところは、まさに主旋律がはっきりしているのか、親しみやすい曲が多い。
ロマン派に入ってくると、だんだんメロディがわかりにくくなってくるのか、一度聴いたくらいでは、何がいいのかわからない曲がよく登場する・・・というのは、自分の未熟さゆえでしょうか。
19世紀の音楽は、ロマン派から民族主義みたいな時期にあって、個人の主観が表に出るようになって、なんともわかりにくい音楽が増えてきます。ですからこのあたりを中級者にお勧めするのが順当かと思います。
とりあえず、クラシックピアノがちょっと好きになった人に、次のステップとして聞いてもらいたいのは、リスト、シューベルト、シューマンの3人です。
いずれもロマン派と呼ばれる時代の作曲家。誰でも、名前は聞いたことがあるはずです。個人的にはショパンよりもリストのほうが好きなのですが、なぜかリストのほうが下に見られているような雰囲気があった残念。
リストというと、その超絶技巧ばかりが際立つようですが、「巡礼の年」は余情性でも大変すぐれた作品群で、ピアノという楽器のあり方のひとつの完成形を示した作品といえます。
シューベルトは、ピアノソナタ、楽興の時、即興曲が有名です。ただし、いずれも親しみやすい曲もありますが、全体的には起承転結が不明瞭で、ちょい聴き程度では全体像がつかみにくい。
シューマンも同じようにわかりにくい側面があるのですが、何度も聴いていると本当にロマンチストであることがにじみ出てくるようで、自分としても最も好きな作曲家といえるかもしれません。「子どもの情景」「クライスレリアーナ」が代表作といえそうです。
リストでは、利スリー・ハワードがCD100枚にもわたる全集をだしていますが、内容からはボレットが一押しです。シューベルトは最初にスポットをあてたケンプを筆頭に、内田光子や田部京子といった日本人がなかなか捨てがたい。シューマンはアシュケナージ、アルゲリッチがお勧めですが、ただいまピアノ曲全集進行中のル・サージがすばらしい。
そして、時代が進んで、各国の文化を重んじる時代となって、フランスのドビッシー、北欧ではグリーク、南欧ではアルベニスなどが録音も多い。
ドビッシーはCDも多くて、どれときめるのは大変に難しい。グリークはクナダール、アルベニスはラローチャあたりが定番ではないでしょうか。
いずれも、その国の民謡などもうまくとりこんで、大変祖国のカラーが前面に押し出された曲が多いのですが、いずれもそれぞれの国の風景などが脳裏によぎるような素晴らしい曲であり、演奏です。