整形外科外来というのは、「外科」といっても外来でいきなり手術するわけでもなく、まぁ整形内科という状態であるわけです。開業医は、事実上手術という治療手段はほぼ無いと言ってもいいわけで、ますます内科的側面が強くなるのはしょうがない。
勤務医をしていてどうしても薬やリハビリテーションの治療だけでは不十分というときには、手術という強力な手段がありました。もっとも、どんなときにも手術でなんとかなるというわけではありませんが、やはり頼りになる武器であることはまちがいありません。
しかし、注意したいのは安易に手術を選択してしまうかもしれないということです。手術をしたいと思う医者が説明すると、どうしても手術が一番いい方法のような話になりやすい。
最近は、手術するにも山ほど書類を説明しながらわたして、うんざりするほどの署名を患者さんからもらわないといけないので、さすがに安易に手術を薦めたりはしないと思います。
それを医療の萎縮と考えるか、適正化ととるかはいろいろと意見が分かれるところでしょう。日本人の場合は、根源的に手術はできることならしたくないと考える人が多い。
それが悪いわけではありませんが、中には手術でしか治療のしようが無い問題も少なからずあることも事実なので、やはりできるだけ公正に情報を提供することが医者に求められているわけです。
まぁ、考え出すと難しいことになってくるので、このくらいにしておきますが、開業して5年たって手術から離れていると、ますます手術が下手くそになっていく自分がはっきりと自覚できるのです。やはり術ですから、いつでもやっていないとダメなんだなぁと思いますね。