2010年11月3日水曜日

リスナーのためのクラシック・ピアノ ~ 上級編

いよいよ上級編ですが、ここまで来るとなかなか難しい。初級、中級はそれほど異論はでないと思うのですが、上級ともなるとマニア的な色彩が加味されてくるので、ともすれば独りよがりになってしまいます。

所詮、自分の書きたいことを好きに書いているブログですから、何を選んでもいいと言えばそれまでですが、もしかしたら誰かが参考にすることもないとは言えません。

少なくとも、現代音楽のようなところからは、一般に薦めるようなものは選びにくい。そこで、それ以前の時代から、2番手的なものを探してみましょう。

古いところでは、多くの鍵盤曲を残したドメニコ・スカルラティとムツィオ・クレメンティ。基本的にはチェンバロのための音楽ということですが、それぞれスコット・ロスとピエトロ・スパーダによる全集にとどめを刺すでしょう。

F.J.ハイドンは交響曲・弦楽四重奏曲の父という存在ですが、鍵盤曲の多さも並大抵の物ではありません。チェンバロ、フォルテピアノを駆使したショルンハイムの全集はよく考えられたスパらしい演奏です。

初級でモーツァルトのピアノ・ソナタをあげておきましたが、「普通」のモーツァルトを堪能した方に、是非きいてもらいたいのがバッハ作品で有名なグレン・グールドの全集です。グールドはモーツァルトを否定的に見ていたことは有名で、アンチテーゼとしての演奏がまた面白いわけです。

ショパン、リストと同じ時代に、さらにピアノという楽器の究極の技巧を追求したのがアルカン。ピアノを自分で弾く方にとってはとっておきの難曲ばかりですが、近年バカテクの持ち主アムランによって紹介され、ずいぶんと知られるようになりました。

ブラームスも忘れてはいけません。重厚な作風はピアノ曲にも反映されて、ちょっと取っつきにくい印象はありますが、ドイツ音楽の神髄を伝えるものだと思います。オーピッツの全集は、現代にブラームスを伝えることで成功しているのではないでしょうか。

最後にラフマニノフを出しておきましょう。協奏曲が有名で、独奏曲については意外に録音が少ないのですが、東欧圏から現代につながる架け橋として大事な存在と言えます。アシュケナージが比較的まとまった録音を残しています。

自分が上級者と言えるかどうか、僭越な気持ちもあるのですが、あくまでも聴く立場としてこのくらいは押さえておきたい物を列挙したつもりです。これからクラシック・ピアノ音楽を聴いてみようと思っている方の一助になれば幸いです。