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2011年7月24日日曜日

Miles Davis Quintet Live In Europe 1967

マイルスの音源は膨大な量ですが、公式盤についてはもう出し尽くした感があり、二番煎じどころか十番煎じくらいまできています。

そのほとんどほ占めるColumbia時代については、Complete Boxが2009年に発売されて、ほぼ終止符を打ったという状況。でも商魂たくましいレコード会社は、次はSACDとかでどか~んと出してくるわけです。

Kind of BlueやBitches Brewという超超名盤を40周年だとか50周年といって発売するのはいいとして、問題はこれらに追加で入っていたものが、すでにブートレグでおなじみになっていた音源だったということです。

正式には発売するようなものではないけど、先に流出してブートで話題になったものを、正規として売り出そうという図式が出来上がってきたということ。正規として発売するからには、それなりに内容・音質などに責任があるわけで、すでにブートでもっている者としても買いなおしてしまうというのは、メーカーにしてやられた気分ですが悪いわけではありません。

そして秋についに完全ブート市場のみだった、マイルスを聞く上でマストアイテムとなっている音源が正規盤として発売されるというアナウンスが出されました。

1965年から始まった、史上最強といわれるTHE QUINTETの音源は多くはありません。スタジオ録音は、比較的コンスタントに出されていましたが、ライブとなると初期の''In Berlin''と''Plugged Nickel''のみ。

特に、後期になってスタジオでの整然として演奏に比べ、とにかく白熱したバトルを繰り広げるライブがまったく抜けていたわけです。その代表的な演奏が、解散直前の最後の1967ヨーロッパ・ツアー。もう従来のフォーマットのジャズとしては行き着くところまで来た、あとはぶち壊すしかないみたいなところを埋めていたのがブートだったのです。

これはマニアならなおさら、また初心者でも絶対に聴いてもらいたい演奏。オーソドックスなジャズの究極的な進化形の姿が凝縮していると言っても過言ではありません。CDとDVDで4枚組ですが、同時に発売される1CDのベスト盤ではなく、絶対に完全盤をお勧めします。

DISC 1
これはブートでは''Antwerp Blues''として知られている超有名盤で、ヨーロッパ・ツアーの初日、10/28のベルギーでの演奏。すべてが途切れなく演奏され、まさにこの後のエレクトリック・マイルスの基本形が出来上がっている。

DISC 2
もとは''Last European Tiur 1967 Vol.1''に収録の11/2のコペンハーゲンでの5曲。おそらく、このあとに数曲あったかもしれないが、ブートでも流出していない。問題は最後の2曲。これは11/6パリとクレジットされていて、ブートでもまったく出ていないもの。

DISC 3
これもブートの名盤として名高い''RIOT''がそのまま詰まっている。11/6パリ公演で、実は'Round about midnightからスタートするとは考えにくく、その前に当時のレパートリーからしてAgitationとかがあったはず。それがDISC 2に収録されたわけで、それだけでも買う価値があるというものです。この時の演奏は、当時としては珍しく曲と曲の間がある。

DISC 4
これは公式にも既出のDVDで、10/31ストックホルム、11/7カールスルーエ公演からの映像。

タイトルにVOL.1とあるからには、まだまだ残っているブート音源も収集されて公式化されることを期待したい。