クラシック音楽の世界も、可愛娘ちゃんはいるもので、やはり注目度が上がるのはやむをえない。例えばヴァイオリンだったら、ユリア・フィッシャー、ヒラリー・ハーンあたりが筆頭となるんでしょうか。
ただ、実力が伴っていないと長く活躍するには苦しくなってくるのは当然のことで、そこんとこはPOPS系に比べてシビア。自分が知っているだけでも、メディア受けして持ち上げられたけど、消えてしまった演奏家の数人は思い浮かべることができます。
さて、ピアノ奏者なると、美人は多いし、やはりお得。アルゲリッチも、今でこそ魔法使いの・・・いや、その、デヴュー当時はなかなかのべっぴんで、その後も恋多き人生を歩んでいます。
アリス=紗良・オットは1988年生まれと言いますから、御年23歳。うちの長女とたいしてかわらない。お父さんがドイツ人ですが、お母さんが日本人。10代からコンクールで優勝しまくって、ついに2008年にドイツ・グラモフォンからメジャー・デヴューというすごい経歴の持ち主。その上、若手女流ピアニストの中では、だんとつのアイドル顔です。
しかも、デヴュー盤で取り上げたのが、リストの難曲「超絶技巧練習曲」というのですから、恐れ入ります。続いて出しのがショパンのワルツ全集、そしてチャイコフスキーの協奏曲という具合で、まさに王道を行くという感じでしょうか。
さて、目下のところ最新作となるのがベートーヴェンのピアノソナタのアルバムということになるのですが、その選曲が面白い。
セールスを考えると、普通有名曲を中心に収録するのが常道で、「悲愴」「月光」「熱情」あたりはたいてい入ってくる。ところが、ここでサラが演奏するのはいずれもハ長調の3番と21番。
3番はベートーヴェン初期のソナタで、個人的には好きなのですが、まだ曲としての構成の未熟なものという評価であまり喜ばれない。
21番は別名「ワルトシュタイン」として有名で、はじまりの親指連打が話題になります。中期の傑作の一つで、これも自分はお気に入りの一曲。
つまり、32曲あるソナタの中でも個人的に好きな曲が選ばれていることがなんとなく嬉しいわけですが、だいぶマニアックな選曲と言えなくもない。日本盤にはさらに「エリーゼのために」がボーナスとして収録されているという、なんとも至れり尽くせりのアルバムとなっているわけです。
肝腎の演奏はというと、なかなか堂々としたもので、十分に聴き応えがある。ただ、テクニック的には問題ないものの、まだ楽譜を追いかけている感じは否めない。もう少し自分のベートーヴェンのカラーか出来てくると、きっと面白い物になりそうです。
ですから、あと10年、いや20年くらいしたら全集をあらためて録音してもらいたいものです。