以前からちょくちょく書いているのですが、ショパンは正直あまり好きじゃない。
なんとなく、甘ったるい感じがするということが大きな理由ですが、もう一つ、あまりにピアノ弾きのスタンダード的な評価でどれを聴いたらいいのかわからないというところもあるんです。
全集としてはアシュケナージのものが有名。アシュケナージの甘めのタッチはまさにショパン向き。悪くはないのですが、なんでしょうか、なんか物足りない。
古めの名盤としてはルービンシュタインのものを持っていますが、もちろん素晴らしいのですが、ちょっと録音が古いのが残念。新しいところではオールソンなんかも悪くないけど、ちょっと薄ぺらな感じがしなくもない。
曲によって個別のものを探せば、そりゃ名盤は山ほどで出来ます。
ノクターンは古いのではアラウ、新しいところではピリスがいい。プレリュードは、古いのはコルトー、新しいのはポリーニ。エチュードはアルゲリッチか。
いずれにしても、まとまって、しっかりとショパンを聴きたい気持ちはあるんです。しかし、ありそうで意外と全集となるといいものがないという印象。
そんなところに、ついに本命登場です。ロシアのピアニスト、ニキータ・マガロフのショパン全集は1970年代なかばに集中的に録音され、彼の代表作となっているものです。
アナログ録音ですが、PHILIPSの成熟した録音は大変素晴らしい。なんともエレガントな演奏が、ショパンの甘さを少し抑えて、曲の本質がストレートに伝わってきます。
いやぁ~、こんなショパンを聴きたかったんですよ。さすがに名盤の誉れは嘘ではありません。