2011年10月17日月曜日

電脳クリニック

開業してもうじき6年となりますが、あらためて開業時に考えていた「電脳クリニック」について考えてみると、さすがに100%電脳化は現在の環境では難しいということ。

電子カルテとレントゲン写真の管理については、最初からコンピュータを導入しました。受付は省スペースでノートを2台、リハビリ室もノート、そして緊急時のバックアップ用ノートの計4台で中古60万円。診察室用は2台で、値段をおさえるためにベアボーンで組んで2o万円。

この間だけでも、ずいぶんとパソコンは安くなっていますね。今なら新品でノートなら一台10万円、デスクトップなら一台10万円以下でも十分なものが揃います。

診察室の一台は開院前に熱暴走でだめになり、もう一台も3年で壊れました。受付のノートもハードディスクが怪しくなったり、やたらと熱を持つようになったり、液晶がいかれてしまったりという状況です。

1台は完全にだめ。1台は何となく動きそうですが、ほぼ完全引退。一台は、もしもの時の緊急用に一応とっておき、なんとか現役を続けているのは一台だけ。結局、ノート一台を除いて、すべて買い換えという状況になっています。

電子カルテパソコンのモニターは、スタート時には診察室だけがデュアルだったのですが、今では診察室はトリプルで、他のもすべてデュアルになっているというのも大きな変化です。

レントゲンの管理用のパソコンは3台。一つは直接読取機を操作するためのメーカー付属品で、これは現役続行中。これがどうにかになると、パソコンは10万程度のものですが、修理費で50万円以上かかってしまうので、保険みたいなメンテナンス契約を今年はじめてしました。

一台はレントゲン写真の保存のためのDICOM(ダイコム)サーバーとなるLinuxで動く専用機。実は一度壊れて、取り替えをしています。もしもの時は、古い機種をもらってあるので、壊れたときもすぐに入れ替えて事なきをえました。

そして、自分で管理しているのが、レントゲン画像をCDに落としたりするためのパソコンで、これも2代目なんですが、うちのクリニックで唯一Windows Vistaのパソコン。他にあまり使うこともないので、ソフトもほとんど入っていません。

後は会計事務所と通信でつながる税理関係専門のパソコンがあるのですが、開院以来今まで何の変更もせず使い続けているのです。しかも、OSは何とWindows2000。もともとかなり非力なパソコンだったので、Windows XPでは重すぎると考えひとつ古い2000を入れてセットしたもの。

そう考えると、すでにOSのサポートもなく、一度変になれば速攻で引退破棄というものですが、一番がんばっている。年を取っても病気もせず、がんばっています。

他の病院からもらう紹介状などの紙情報についてはスキャンして、電子カルテの中にファイリングしています。また、フィルムのレントゲンはめんどうですが、カメラで撮影してファイリング。紙をまったく使わないことを目指していたのですが、どうしてもゼロにはできていません。

リハビリの指示や履歴を確認する物は、紙で管理しています。一度に並べて、入れる人から呼んだりする関係で、一度に一人ずつしか閲覧できないパソコンでは非効率。他にも、患者さんによって、体重表とか血圧表とか、個別に必要な紙がどうしても出てしまう物です。

昨年から診療報酬の請求は紙でレセプトの束を提出するのではなく、オンラインで電子的なデータとして送るようになって、95%くらいは紙を使わなくなりました。これは、最初はいろいろ不安なことがあって困惑していましたが、結局ほとんど追加の設備投資もなく出来るようになり、無駄が随分と減って助かりました。

しかし、いまだに相手が完全な電子化に対応していないために、5%の紙での提出が続いているというのはどういうことなんでしょうか。県によっては完全電子化もしているというのに、神奈川県のこの怠慢は理由がよくわかりません。

他にも、どうしてもFAXという旧時代的な通信手段がいまだに使われていることも、完全電脳化できない理由の一つ。もっともうちでは早くから、パソコンでFAXの受信もしているので、必要ないFAXを印刷して無駄にインクを消費することはありません。

印刷といえば、プリンター。受付の大きめのカラーレーザーと小さめの白黒レーザー、診察室に白黒レーザーの3台でしたが、今ではすべて引退。白黒レーザーは感光体が高く、これがダメになると本体よりも高いので、丸ごと買い換えです。

カラーレーザーも今年ついに引退となりましたが、大量のレセプトを印刷することも無くなったので、オールインワンのインクジェットにしました。処方箋や領収書を印刷するプリンターだけが、白黒レーザーで、今使用している物が3台目。いつ壊れてもいいように、新品未開封品もひとつ裏に用意しています。

これらのものは、一度止まってしまうと、クリニックの作業がどうもできなくなる危険があり、地震などで停電したときにはまったくのお手上げ状態になります。一応、紙でその場をなんとかする用意はしていますが、できれば使いたくない物です。

そんなわけで、全体で90%くらいの電脳化というところでしょうか。社会全体が完全電脳化しない限りは、自分だけ完全というのは無理であるということで、とりあえずこれ以上はアナログであることも、ひとつの合理的な形態という風に考えるようにしています。