自分の場合は、音楽を聞くようになったのは小学生高学年になったころから。時は60年代末、日本の音楽シーンに限らず映画・テレビドラマなどは、ほぼアメリカからの輸入品が幅を利かせていました。
そんな中で、当然アメリカでトップスターの地位を獲得していたのがエルビス・プレスリー。50年代半ばにデヴューして、最初のファンになった方だとプレスリーはロックン・ロールのアイドルみたいなもので、日本での加山雄三のイメージではないでしょぅか。
初期の録音にはハートブレイク・ホテル、監獄ロック、ラブ・ミー・テンダーといった大ヒット曲や、GIブルース、フルー・ハワイ、青春カーニバルなどの映画が山ほどあって、ファンからすると次から次へと出てくるメディアに心躍ったことでしょう。
自分がプレスリーを知ったのは、70年に公開された「エルビス・オン・ステージ」でした。今でもエルビスのそっくりさんの外見イメージの原型となったのは、このドキュメンタリー映画からでしょぅ。
もみあげ、おおきな襟、スカーフをして大きく方をぐるぐる回しながら横向きになってうまいまくる。このイメージは絶対的です。小学生からすると、ラスベガスのホテルでショーをするおじさん。汗をふいたハンカチを、客の女性が狂喜して奪い取る。いったい、何者なんだろうと思ったものです。
なんといっても、自分にとっての最大のヒット曲は「この胸のときめきを」、あとは「バーニング・ラブ」でしょぅか。やはりリアルタイムに聞いたことが大きい。その後はロックに走ってしまったので、エルビスに入り込んだのはわずかに2年くらい、買ったレコードも「ラブレター・フロム・エルビス」の一枚だけでした。
今から聞き直すと、やはり時代を感じます。エルビスの登場と突然の謎の死は、ベトナム戦争前後の混乱したアメリカの世相を反映していたのかもしれません。いまや誰でも簡単にカリスマと呼ばれる時代ですが、エルビス・プレスリーは真のカリスマと呼ぶにふさわしい存在だったんですね。