2012年8月19日日曜日

Anita O'day / Sings the Winners

クリニックは明日(8月20日月曜日)から通常診療を行います。



ジャズで、男性ボーカルというと正直フランク・シナトラとか、トニー・ベネットくらいしか思いつかず、それもなんか野太い声であまり好きになれなかったりします。

それに比べて、女性シンガーにはいい感じの人が多い。黒人では、ビリー・ホリディ、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ボーン、ダイナ・ワシントン・・・すぐに何人も思い出せます。白人でもたくさんいますが、中でもお気に入りはヘレン・メリル、ローズマリー・クルーニー、そしてアニタ・オデイといったところでしょぅか。

アニタ・オディは2006年に87才で亡くなったのですが、最初はジーン・クルーパーの楽団で注目され、オスカー・ピーターソンのコンボをバックに軽快に歌う1957年の"Sings the Most"、そしてオーケストラの伴奏での1958年のこのアルバム"Sings the Winners"で人気を不動の物にしました。

さらに1958年にのニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演し、この模様をとらえた映画「真夏の夜のジャズ」で世界中に知られるようになったわけです。

ちょっとハスキーな声で、スキャットをうまく使った乗りの良いリズム感が彼女の魅力だと思いますが、そう言う意味でアドリブができる数少ないシンガーと言うことができます。

そのあたりの魅力が満載で、なおかつ誰もがよく知っている曲ばかりがつまっているのがこのアルバムです。

オーケストラは、マーティ・ペイチとラス・ガルシアが半分ずつ受け持っていて、どちらもけっこう開けっぴろげなのりのりの演奏を披露しています。

その後薬物中毒の関係で60年代半ばには姿を消してしまうのですが、70年代に入ってカムバックしてからは、積極的に日本のレコード会社も後押しして、その頃に初めてリアルタイムにアニタ・オディを聴くことになりました。

50才台になって、円熟の唱法でジャズ・ボーカルとはこれだと思わせてくれたのがアニタ・オディだったわけです。とにかく思い切りスイングするジャズ・ボーカルを聴きたければ、このアルバムは一押し。怖いもの知らずのアニタの若き歌声を是非!!