2012年8月22日水曜日

患者さんへの説明

整形外科の外来診療をしていると、患者さんの訴えとして多いものは圧倒的に腰の痛み、首の痛み、そして膝の痛みです。

腰は、若い人は重たいものをもってのぎっくり腰、中には椎間板ヘルニアというような深刻な状態も含まれます。首は圧倒的に肩こり。年をとってくると、変形性脊椎症と呼んでいる、加齢性の変化を基盤にした腰や首の痛みが多い。

膝は若い人ではスポーツからみの怪我、特に多いのが内側側副靭帯損傷と半月版損傷。年をとってくると、関節表面の軟骨が磨り減ってくる変形性膝関節症による痛みがほとんどをしめてしまいまます。

このあたりは、整形外科医としては、もう一日に何度も患者さんに説明して、30年近くたってくると何千回と繰り返してきたことかもしれません。

でも、ずーっと同じ説明をしてきたかというと、実はすこしずつ使う言葉はかわってきています。できるだけわかりやすい説明をしようと思って話をしますから、こっちのほうが簡単な言葉だと思うといつのまにかそちらを採用したりするわけです。

また、できるだけ多くの患者さんの診療をしようと思うと、説明の時間をみじかくしたい。少しずつ要らない言葉を削っていったりして、エッセンスを絞りこんで行くことも、説明がかわっていく大きな理由だったりします。

最近、加齢性の問題を説明するときによく使うのは、「形の変化、かける負担、支える筋力の3つのバランスがくずれている」とい説明です。

いくら老化現象で骨が変形しても症状がない人もいれば、変形のない若者が老人のような痛みをうったえることがあります。これは、どの程度の負担をかけているかということと、その負担を支えるための筋肉の力がどの程度あるかというバランスの問題。

この中で、仕事とかをすぐやめられるなら負担を減らすことができますが、なかなか簡単ではない。となると、現実に調整が可能なのは筋力ということになります。ですから、筋力強化を強くお勧めすることがおおくなるわけです。

どうです? わかりやすいですか? 自己満足的な話ではありますが、自分でも今まで使っていた説明の中で、最も説得力があって理解してもらいやすいのではないかと思っています。

そのうち、もっと良い説明を思いついたら変わるかもしれませんが、ここしばらくはこういう説明を続けて使っていることでしょう。