今日は久しぶりの一雨で、さぞかし涼しくなるかと思えば、むしろ湿気が増えて蒸し暑くなっただけ。やはり、地球温暖化ということを体で感じる夏ということでしょうか。
夏の音楽というとラテン系のものが似合う。よりいっそう熱く盛り上がるのであれば、サンバの強烈なリズムが最高。一方、涼を求めて静かに夜のとばりに身を委ねるのならボサノバがぴったりです。
ボサノバはサンバの一種でアントニオ・カルロス・ジョビンが元祖とされていますが、アメリカではテナーサックスのスタン・ゲッツ名義のこのアルバムの大ヒットによって、広く知れ渡ることになります。
すでに白人ジャズ奏者として人気を得ていたゲッツが、ジョアン&アストラッド・ジルベルト夫妻と共演した作品で、一曲目の「イパネマの娘」は世界的に大ヒットとなりました。
ゲッツもこのヒットに気をよくして、このあとラテン系のアルバムを立て続けに出していきます。これはこのアルバムを作成したVerveレコードの当時のプロデューサであるクリード・テイラーの意図がかなり入っている。
彼はその後独立してCTIを創設して、今で言うフュージョンのはしりとなるレコードを多数制作しました。つまり、ジャズのエンターテイメント部分を強く出して、誰もが大人の音楽として楽しめるようにしたかったということです。
ひとつ間違えると、単なるムード音楽と化してしまうところを、ゲッツの知的なテナー・ソロがジャズとしてのラインに踏みとどまらせているのが素晴らしい。 寝苦しい夜のBGMには最適です。