2016年2月6日土曜日

シューベルト大好き ~ Schubertiade

Franz Peter Schubert、フランツ・ペーター・シューベルトは、オーストリア人。1797年に生まれ、1828年にわずか31歳で亡くなっています。

短い生涯でしたが、ゲーテやシラー、ハイネなどの詩をもとに多くの歌曲(リート)を作り、「歌曲王」とも呼ばれますが、交響曲、室内楽、ピアノなとの独奏曲、宗教曲、歌劇など、1000余りの作品が残っています。

ウィーン近郊リヒテンタールに生まれ、1810年、13歳頃から作曲活動を始めました。 1813年には早くも交響曲第1番を作曲しています。

音楽家や詩人などの親しい仲間が集まって、シューベルトを中心に音楽を楽しむシューベルテイアーデと呼ばれるサロンコンサートが、シューベルトの新曲を発表する重要な場でした。

初期にはベートーヴェンの影響を残す古典派に属する作品、そして後期には ロマン派に続く作品を作曲し、両者をつなぐ重要な位置を形成している。

・・・というのが、現在のシューベルトの略歴と評価ということになります。

しかし、長らくシューベルトは歌曲の作曲家という位置づけがされて、それ以外の曲については、ベートーヴェンの亜流扱いをされて、ごく一部を除いて顧みられることはありませんでした。

早くに亡くなっために、多くの未発表曲が残されたこと、そもそも出版されたものが少ないこと、そして遺産の散逸がいろいろあることなども要因としてあるようです。

没後100年を記念した作曲コンクールが1927年に行われた頃から、しだいに研究も盛んになり、いろいろな分野の曲にも脚光が当たるようになったわけです。

ピアノ曲については未完成曲が多く、ソナタとしては23曲が確認されていますが、何曲かは楽章の断片のみで、曲として完成形になっているものは半分程度にすぎません。

いくつかの完結しているソナタは20世紀後半になると、ピアニストのレパートリーに取り入れられることが多くなってきましたが、以前のエントリーでも書いたように、60年代後半にヴィルヘルム・ケンプが初めて「全集」という形にまとめたことから、やっと全体像が認知されるようになりました。

歌曲王と呼ばれるだけあって、シューベルトは天性のメロディ・メーカーであったと言えます。どの曲にも、誰もが口ずさみたくなる節が必ずあります。そのテーマをどんどん展開していく技法は、ベートーヴェンに「天才だ」と言わせただけのことはあるというものです。

しかし、繰り返しが多く、何とか長引かせているような印象を持たれるし、妙に休符が多かったりして、間が抜けたようなところが取っつきにくさにつながっているかもしれません。

でも、一たびはまると、できるだけ長引かせ、このまま終わらないでもらいたいと思うようになるし、この絶妙の間がまた快感になってくるというものです。

曲調も長調のものが多く、普通なら明るい印象を持つはずなのですが、長調なのに悲しいというのがシューベルトの真骨頂ではないかと思います。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタでクラシック音楽に開眼した自分ですけど、もはやそれを超えて聴きたいのがシューベルトであり、シューベルトのピアノ曲や室内楽は絶対的な地位を獲得しています。

バッハの教会音楽とともに、シューベルトは音楽趣味を十分に満足させてくれる存在であると思っているのです。

最後に、一枚のアルバムを紹介しておきます。

タイトルはまさに"SHUBERTIADE"、つまりシューベルトを中心にしたサロン・コンサートを再現するようなプログラムが収録されています。

演奏の中心は古楽奏法のピアニストの草分け、インマゼールです。歌あり、合奏あり、独奏ありで、楽しくシューベルトの元に集った仲間たちを想起できる仕上がりです。

フェアミューレンも同様のアルバムを最近出しましたが、インマゼールのものは4枚組で、古楽器によるシューベルトの室内楽の有名どころをかなり網羅しているのでお勧めです。